河野防衛相が陸上イージス白紙撤回を突然発表したのは6月15日の記者会見だった。
それを知った私は6月16日のメルマガ第334号で書いた。
日本の安全保障に関する政策の中で、そしてその中でもとりわけ日米安保に関わる政策の中で、いったん決めて、その実施を強行してきた計画を突然変更することなど、これまでの日本ではあり得ないことだ。
その背景にある本当の理由を徹底究明しなければいけないと。
そして、その後も私はこの問題について、次々と報じられる断片的な公開情報に基づき何度も警告してきた。
大手新聞はほとんど役立つ情報を提供してくれなかったが、情報誌や週刊誌は、ヒントになる重要な情報を提供してくれた。
その結果、とんでもない背景が見えてきた。
それは赤旗などが書いている、「住民の反対が撤回を迫った」、「次は辺野古基地の阻止だ」、などという甘いものではない。
それどころか、陸上イージスの白紙撤回は、対米従属に終始してきたこの国の防衛政策の矛盾のすべてが凝縮された結果もたらされた、究極の失策だったのだ。
しかも、その失策を逆手にとって、安倍・河野政権は、まるで焼け太りのように、敵基地攻撃というさらなる対米従属の防衛政策に踏み切って米国軍需産業に日本国民の血税を献上しようとしているのだ。
敵基地攻撃容認はまさしく亡国の政策なのである。
この私の推測をダメオシする記事が、きのう手元に届いた月刊情報誌「FACTA8月号」に掲載されていた。
「陸上イージス中止 浮いた1兆円どこへ行く」と題するこの検証記事はあまりにも衝撃的だ。
野党の外交・安保に強い議員は皆がこの記事を読んで、チームを組んで国会で安倍・河野の八百長芝居を徹底追及すべきだ。
さもなければ敵基地攻撃がこれからの日本の安保・防衛政策の中心となり、日本は中国や北朝鮮と戦う国になる。
対米従属がこの国の国是となり、日本の防衛政策と自衛隊の装備が米国軍需産業のしもべとなる。
国会は、閉会中審査という形で今でも開かれている。
コロナ対策で安倍政権に文句をいうばかりが国会審議ではない。
いまこそ野党は敵基地攻撃の阻止に全力を傾ける時だ。
いまここで議論しなければ、9月中にも敵基地攻撃が容認されることになる。
そうなれば、もはや野党の存在意味はなくなる。
もちろん政権交代などあり得ない。
野党共闘の成否は消費税減税でまとまれるかどうかだ、などという馬鹿げたことを言っているのではなく、自民党の良識派を巻き込んで、敵基地攻撃を容認して対米従属を国是にするか、それとも専守防衛を堅持してアジアとの平和共存を国是にするか、この選択で政界大再編を目指す野党共闘を始めるか、待ったなしに求められているのだ。
いま日本は大きな歴史的転換期にある。
コロナ危機の禍を転じて平和国家になれるかどうかの瀬戸際である(了)
Comment On Facebook