リニア新幹線の計画が発表された時は、もう随分前の事だったと記憶している。
その時は、完成予定の2027年と言う年を聞いて、そのころまで自分は生きているだろうか、リニア新幹線というものを一度でもいいから乗って、死にたいものだと思ったものだ。
あっという間に長い年月が経って、2027年はあと7年になった。
もうすぐ73歳になる私だが、後7年ぐらいは生きられるかもしれない、リニア新幹線に乗って死ねるかもしれない、と思うようになっていた。
コンコルドは乗る前になくなってしまったが、リニア新幹線は乗ってやろう、そう思っていた。
ところがリニア新幹線も乗れそうもなくなった。
リニア新幹線の完成が2027年からさらに延期さるからではない。
延期どころか中止に追い込まれるおそれが出て来たからだ。
中止されてしまえば、どんなに長生きしても乗れない。
はたしてリニア新幹線は中止に追い込まれるのだろうか。
その事を二日前の毎日新聞が見事に教えてくれた。
たとえ静岡県が工事を承認しても、コロナ危機がリニア新幹線を不要にするというのだ。
すなわち、コロナ危機が勤労形態を変える。
テレワークはコロナ危機が収まっても定着していくだろう。
そうなればわざわざリニア新幹線を使って移動を急ぐ理由はなくなる。
ただでさえ採算がとれず、巨額の赤字を覚悟で考え出されたリニア新幹線だ。
ドル箱である東京―大阪間の新幹線の収益でリニア新幹線の赤字を埋め合わせるというのがJR東海の目算だったが、コロナ危機でその新幹線も減収必至となり、ますますリニア新幹線の赤字が膨らむ。
これではどう考えてもリニア新幹線は不経済になり、そもそも移動する必要がどんどん少なくなっていくのだから、不経済の上に不要になっていくのだ。
残念ながら、いくら長生きしても、リニア新幹線に乗る事は幻に終わりそうである(了)
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