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コロナ危機があぶりだした象徴天皇制の危機

 月刊「選択」の最新号(6月号)の中で、コロナ危機で国民が不安と分断で苦しんでいる時に、令和天皇はひとこともおことばを発しない事への、批判とも、皮肉ともとれる記事が掲載されていることは、すでに書いた。

 その言わんとすることはこうだ。

 安倍首相がここまで連日メッセージを発しているのだから、安倍首相は令和天皇がおことばを発せられるのを好まないのだろう。

 同じメッセージを発すれば自分の言葉のありがたみがなくなるし、違うメッセージを発すれば、それこそ大変なことになる。

 安倍首相から派遣された西村宮内庁長官が令和天皇の発言をたくみに封印しているのだろう。

 もしこのような事が続くなら、国家と国民の統合の象徴である象徴天皇制は無意味になる。

 いよいよ、象徴天皇制の危機がおとずれることになる。

 以上は、あくまでも、「選択」の記事が言わんとする事を私が拡大解釈したものだ。

 しかし、間違いなく選択はそう言ってるのだ。

 そして、この事は、まさしく御厨貴氏が、近著である「天皇退位 何が論じられたのか」(中公選書 2020年3月10日初版)の中で国民に警鐘を鳴らしていることだ。

 警鐘を鳴らしているが、もちろん彼にも答えはない。

 そして、国民が一致した答えを出すことなど、出来ないとあきらめているごとくだ。

 この本は国民必読の書だ。

 特に、天皇制に賛成する者や反対する者たちには必読の書だ。

 そして天皇制に関心のない大多数の国民にとっては、まるでどうでもいい本なのだ。

 私がここで書いている問題提起すら天皇制に関心のない者にとってはどうでもいいことなのだ。

 そして、そういう若者はどんどん増えていく。

 このままでは、まちがいなく象徴天皇制は有名無実化していく。

 それならいっそのこと、共和制になればいいようなものだが、決してそうはならないだろう。

 民主主義の下でもトランプや安倍のような為政者が出て来るわけだから、彼らが全権をふるうようになると、とんでもないことになるからだ。

 いやしくも国家と国民が存在する限り、それらを統合する理念が必要なのだ。

 そう考えた時、4年前のあの平成天皇のおことばがいかに重い意味を持っていたかがわかる。

 しかし、国会も有識者もメディアも見事にスルーした。

 そしてあのおことばは忘れ去られようとしている。

 一体日本という国はどういう国なのか。

 どこに向かおうとしているのか。

 おりからコロナ危機が起こり、コロナ後の日本のあり方は根本的に変わらなければいけないと言われるようになった。

 そして右翼の政治家たちが新しい国家観を示そう集まり、競いつつある。

 その一方で、いわゆる左翼は、何も語ろうとしない。

 いや、まとまれないのだろう。

 しかし、象徴天皇制はどうあるべきかという問題は、都知事選や自民党総裁選や解散・総選挙の結果よりも、はるかに重要な問題だ。

 私は、近く自らの答えを本にして世に問うつもりだ。

 それが私の平成天皇のおことばに対する答えである(了)

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