電通といえば国内最大手の広告代理店である.
しかし、同時に電通は、霞が関の「実働部隊」としての顔を持つ。
こう報じたのはきょう6月9日の共同通信だ(下野新など地方紙)
この共同の記事の意味は深刻である。
コロナ対策の一環である「持続化給付金」の不透明な支出問題が、最終国会における野党の最大の追及材料として急浮上してきた。
この問題のどこが悪質なのか。
それはコロナ対策費を政権が国民の知らないところで恣意的に支出している疑いが濃厚だからだ。
担当官官庁の経産省が、自らの支配下にある特定の民間企業からなる推進協議会を勝手につくって業務を委託し、予算の使い方が不透明であることだ。
しかも経産省と言えば、いまや安倍政権の事実上の支配者である官邸官僚の出身省庁だ。
しかし、もっと問題なのは、その推進協議会なるものが、電通に業務を再委託しているところだ。
結果として予算の支出が遅れ、恣意的になり、あげくのはてに予算の一部がこれら組織に中抜きされるおそれが出て来る。
その実態が国民に明らかになれば、下手をすれば安倍政権を揺るがす大問題に発展するおそれすらある。
だから野党はにわかにこの問題を追及し始めたのだ。
安倍政権もあわてて調査をすると言い始めたのだ。
しかし、ここでも野党の追及は空振りに終わるだろう。
この問題の担当省庁は経産省だ。
森友疑惑の時も、そして黒川人事疑惑の時も、安倍政権は最後は官僚組織の責任にすればいい。
そして、いまでは官僚組織のトップすらすげ替えることが当たり前になった。
それでも官僚組織は権力に盾突こうとしない。
一人や二人のトップの生き残りよりも、組織の生き残りの方が重要であるからだ。
しかし、今度の問題は、さらに複雑だ。
官僚組織の下にもうひとつの官僚組織のような、下請け実働部隊が関与しているからだ。
それが、共同通信が書いた「霞ヶ関の実働部隊」である電通だ。
安倍政権は経産省の不備を認め謝罪し、経産省は電通の不手際のせいにして「指導を強化する」ことで逃げをはかる。
そして電通はこの国の民間企業を支配しているから経産省に指導を強化されても痛くもかゆくもない。
要するに皆が裏で結託し、悪事を共有しているのだ。
これをすべて究明し、責任を取らせることは、いまの野党では無理だ。
メディアはこの問題の悪質性を知っているから大きく取り上げる。
しかし、どのメディアも知っている。
補正予算は6月12日に成立し、事実上国会は終わる事を。
せめて野党の出番をつくってやろうと、連日報じているだけだ。
バカを見るのは、なぜこんなことで大騒ぎをしているのか、報道を読んでも何もわからない一般国民である(了)
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