新党憲法9条

憲法9条それは希望

コロナ危機が教えてくれた新党憲法9条の正しさ

 憲法9条を変えるな!と訴える市民意見広告運動について書いたところ、協力者のひとりと思われる読者からさっそくメールをいただいた。

 自分も毎回1000円の寄付をして協力して来たが、むなしさを覚えて止めた。

 平和を願うひとたちの善意の運動であると思うが自己満足に終わっている。

 さりとて今の政治では憲法9条は守れない。

 むなしさは募るばかりだ、と。

 むなしさが募るのはこの読者だけではない。

 私はイラク戦争に反対して外務省を追われてからの17年間もの歳月の間、次のように訴え続けて来た。

 護憲を叫ぶだけでは駄目だ。

 憲法9条の求める理想を実現する努力こそ必要だ。

 それは外交・安保政策であり、それを実現できるのは政治しかない。

 そう訴えて、この国の政治の中に、まったく新し政党である新党憲法9条の実現を呼びかけて来た。

 しかし何一つ成果を残すことはできなかった。

 消耗した体力、気力、資金を思うと、これ以上のむなしさはない。

 しかし、私は今、コロナ危機が新党憲法9条の出番を催促していると思っている。

 少し前に、グテレス国連事務局長が、コロナ危機の間なりとも世界は戦争を止めてはどうか、と提案したという報道があった。

 しかし、きょうの新聞を見ると、アフガンでタリバンの攻撃が増していると報じられている。

 そして、また、イラクでISのテロが活発化していると報じられている。

 一触即発だった米・イラン関係についても何も変わっていない。

 トランプ大統領は、イラン艦船に不審な動きがあったら即座に撃沈しろと命じたと得意げに語った。

 グテレス国連事務局長の訴えもむなしく、コロナ危機の真っ最中でも、戦争はいささかも終わらないのだ。

 それどころか、コロナ危機を利用してトランプの米国は中国に宣戦布告している。

 コロナ危機より戦争の危機の方がはるかに深刻なのだ。

 コロナ危機は、ワクチンや治療薬の出現でやがて終わるだろうが戦争は決して終わらない。

 しかし私は中国が憲法9条の精神に基づいて正しい外交・安保政策をとるなら戦争を止める事ができると思う。

 習近平がトランプに対し、世界の見ている前で、こう呼びかけたらどうか。

 いま米中が力を合わせてなすべきはコロナ危機の一日も早い収束だ。

 そして米中の協力でコロナ危機が収束出来れば、その後に真っ先に行うべきは、コロナ危機で破壊された世界経済の立て直しだ。

 すなわち、ポストコロナの世界共通の最優先策は経済の立て直しと繁栄だ。

 そのために中国は南シナ海に人工的につくった軍事基地を撤収する。

 一帯一路をもっぱら周辺諸国の経済発展に活用する。

 だから米国も世界から米軍基地を撤収したらどうか。

 多国の紛争から手を引いたらどうか。

 もし習近平が本気でそう提案したらトランプは反対できないはずだ。

 そんなトランプを米国のCIAが暗殺すれば、その時こそ米国の軍産複合体が世界から石をぶつけられて追われる時だ。

 そのような究極の平和外交を中国にさせることが出来るのは、憲法9条を持つ日本だけだ。

 なぜ日本はそれを中国に言わせることが出来ないのか。

 それはこの国の政治が過去の軍国主義の誤りを反省できないからだ。

 その犠牲の下で手にした憲法9条を、象徴天皇の上に置く、国是とする事が出来ないからだ。

 憲法9条をもうこれ以上右翼と左翼の空疎な政局の具にしてはいけない。

 憲法9条を平和を希望する善良な国民の気休めのおまじないに封じ込めてはいけない。

 憲法9条は、最強の外交・安保政策とすることによってはじめて生きる。

 その時こそ憲法9条の価値が世界に輝くのだ。

 ポストコロナの日本の政治は、どの政党、政治家が、まっさきに、新党憲法9条の政策を言い出すかどうかにかかっている。

 政治の最大のテーマは、やはり戦争のない世界の実現である。

 それは、コロナ危機の克服よりはるかに重要な、世界に共通した最初で最後の政治課題である(了)

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