きょう4月30日発売の週刊新潮(5月7・14日号)に「中国傀儡WHOテドロス事務局長のトンデモ発言録」という見出しの記事を見つけた。
読んでみて驚いた。
WHO批判、テドロス事務局長批判の振りをしながら、書いていることは徹底した中国たたきだ。
その記事が、少しでも根拠のある情報に基づいたものならまだ逃げ道がある。
しかし、悲しいかな、週刊新潮にはそのような情報源も外交に関する調査能力もない。
これまで報道されて来た中国批判記事のつぎはぎ記事でしかない。
しかも、その書きぶりがゴシップ記事のごとくだ。
いくら、中国嫌いの世論に迎合したからといって、いくら連休で行き場がない欲求不満の国民の暇つぶしを狙った記事だからといって、ここまでWHOや中国をあしざまに書いては度が過ぎる。
もしこれがユダヤ叩きだったら週刊新潮はマルコポーロ事件の二の舞になりかねないほどだ。
マルコポーロ事件とは、文芸春秋社が出版していた雑誌マルコポーロが、あるとき、ユダヤ人虐殺(ホロコースト)はなかったと言う記事を掲載し、ユダヤのロビー団体にねじ込まれて廃刊に追い込まれた事件だ。
中国はそこまではやらないだろう。
大手新聞ならいざ知らず、週刊新潮が何を書こうが中国は相手にしないだろう。
しかしである。
コロナ感染をめぐる米中対立は、いまや中国にとって国の存亡をかけた負けられない情報合戦だ。
そんな中で、こんな一方的なねつ造まがいの批判記事を書いて中国を悪者扱いにする。
もし誰かがこの週刊新潮の記事を中国に告げ口して、週刊新潮はとんでもない記事を書いた、許してはいけない、とけしかけたら、中国が外交問題にしないと誰が断言できるだろう。
そうなればマルコポーロの二の舞になる。
いや、マルコポーロの二の舞では終わらない。
マルコポーロは廃刊で済んだが、今度は週刊新潮だけの問題にとどまらないおそれがある。
下手をすれば安倍外交の足を引っ張ることになりかねないのだ。
週刊新潮は、外交記事を書く時は最新の注意を払うべきだ。
そして週刊新潮は最悪の事態に備えていまから身構えておいた方がいい。
何も起こらないように祈り、何も起こらなかったら、その時安堵すればいいのである(了)
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