支持率アップ目当て、選挙目当ての、あまりにも見え透いたパフォーマンスだ。
この言葉を聞いたら、まともな日本国民なら、誰もが安倍首相のコロナ対策緊急記者会見のことを思い浮かべるだろう。
その通りだ。
そしてこのことについては皆が批判しているから、私がここで繰り返す必要はない。
しかし、トランプの外交に関心のある者なら、もう一つのことを思い浮かべるはずだ。
それは、きょう3月1日の各紙が一斉に報じている、アフガニスタン和平に関する米国とタリバンの合意である。
ついにきのうそれが実現したらしい。
しかし、これほど馬鹿げた合意はない。
アフガニスタンはれっきとした独立国だ。
そしてタリバンはそのアフガン政府を倒そうとしたテロ組織だ。
アフガン和平というなら、本来はアフガン政府とタリバンが話し合って合意しなければ意味がない。
米国の本来の役割は、それを仲介することなのだ。
ところが、米国はアフガン政府そっちのけで、テロ組織であるタリバンと直接交渉してきた。
あの9・11以来、テロとの戦いを真っ先に宣言し、テロとは話し合わない、テロは根絶するしかない、と言い続けてきた米国が、である。
しかもタリバンは、9・11の首謀者とされたオサマ・ビン・ラデンを匿ったとして米国が一方的に攻撃して倒した相手だ。
なぜこんな自己矛盾をトランプ大統領はしたのか。
それは、大統領選を前にして、選挙公約であるアフガンからの米軍撤退を実現しなければいけないからだ。
そのためにはアフガンからテロをなくさなければならず、それを傀儡アフガン政権に期待できないから、自ら反米テロ組織であるタリバンと直接交渉するしかなかったのだ。
もちろん、今度の合意で和平が実現すればいい。
しかし、決して和平は長続きしない。
タリバンがテロを止めるはずがないからだ。
そして米軍がテロに対する攻撃を止めるはずがないからだ。
笑ってしまうのは、そのことをトランプ自身が合意発表の記者会見で認めたことだ。
テロか起きればやっつけると。
これほど見え透いた選挙目当てのパフォーマンスはない(了)
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