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鈴木宗男と谷内正太郎の場外乱闘は鈴木宗男の勝ちだ

 メディアがまったく報道せず、従って国民の誰も知らない、前代未聞の場外バトルが起きた。

 それは北方領土問題をめぐる鈴木宗男と谷内正太郎の場外バトルの事である。

 そのことを、きのう郵送されてきた月刊情報雑誌「ザ・ファクタ」で、高安倖史というジャーナリストが教えてくれた。

 ちなみにこの「ザ・ファクタ」という雑誌は書店では売られていない。

 定期購読しなければ読めない。

 だから、この高安氏の記事も、ほとんどの国民は知らないままだ。

 だからこそ、私はここで読者に教えたいのだ。

 しかも、誰よりも正しく、分かりやすい解説をつけて教えたい。

 さる1月30日の参院予算委員会で、鈴木宗男が安倍首相に質問した。

 谷内正太郎前国家安全保障局長がテレビで発言したことを知っているかと。

 その発言は国家公務員の守秘義務違反ではないかと。

 このテレビ発言とは、質問から6日ほど前にさかのぼる、BSフジ・プライムニュースに出演した時の谷内正太郎の発言のことだ。

 そこで谷内正太郎は安倍外交について縦横かつ饒舌にしゃべったらしい。

 私はこの番組を見ていなかったけれど、翌日の新聞で谷内正太郎がテレビ出演していた事を知って、ついに谷内正太郎もテレビに出るようになったか、過去の人になるのはさみしいのか、と思ったものだ。

 谷内正太郎は9月にNSC局長を辞めてから半年近く経っても、一切メディアに登場しなかった。

 テレビは彼を出演させて外交の裏話を聞きたかったに違いないが彼は断って来たに違いない。

 そして、それは当然だ。

 なにしろ彼は6年もの間、安倍外交のすべてを任されて来た。

 その彼がメディアに出て喋るなら、何を喋っても安倍外交の失敗をばらす事になる。

 そんなへまを谷内正太郎がするはずがない。

 そう思っていたからだ。

 ところが、その谷内正太郎が、沈黙を破って初めてメディアの前で語ったのがこのBSフジの番組だったのだ。

 そして、やはり谷内正太郎は口を滑らしてしまった。

 谷内正太郎は安倍首相の北方領土外交について、「今、ロシアが言っていることを一言で言うと、以前より後ろ向き、慎重になっているということ」であるとばらしたのだ。

 しかも次のように具体的にロシアの立場を酷評している。

 すなわち、ロシア側の主張は要するに①第二次大戦の結果北方領土は正式にロシアのものになった②すべての外国軍隊(筆者註:実は在日米軍のことだが)は日本から撤退せよ③日米安保条約を止めて日ロ平和条約を結ぼう、領土問云々はその次だ、この3点に尽きる。

 これは 「我々外交官の言葉で言えば、ノンスターター、つまりこれじゃあ、動きようがない、ということだ」そう語ったと言うのだ。

 私は谷内正太郎と外交官の同期だったから断言するが、ノンスターターなどという言葉を皆が使っているなどということは断じてない。

 そもそも外交に、「動きようがない」などという硬直的な外交はない。

 まさしく谷内正太郎は対米従属で凝り固まった外務省を代表する外交官なのだ。

 だからこそ二島返還に先走った鈴木宗男を外務省から追い出した一人だったのだ。

 鈴木宗男と谷内正太郎は因縁の間柄なのだ。

 その二人が図らずも安倍首相の北方領土外交のブレーンとなった。

 かつては谷内正太郎が6年間それを担って来た、そしていまや鈴木宗男がその代りを務めようとしている。

 結論から言えば、私は谷内でも鈴木でも北方領土を取り返すことは出来ないと思う。

 しかし、谷内では100%返ってこないが、鈴木が安倍首相に対して、トランプも重要だけれどプーチンも重要だと口説き落とす事が出来れば、まだ可能性はゼロではないのだ。

 そして鈴木宗男には、ここにきて強力な援軍があらわれた。

 それが、朝日新聞がスクープ報道した、三木元首相が保管していたという日ソ共同宣言交渉に関する極秘文書の発覚である。

 日本はとっくの昔に北方領土返還をあきらめていたのだ。

 領土問題を棚上げして日ソ平和条約締結を結ぼうとしていたのだ。

 その事を国民に隠して、国民をだまして、4島返還に固執して日ロ関係の進展を潰してきたのだ。

 鈴木宗男こそ、この朝日のスクープ記事を国会で取り上げるべきだ。

 外務省が隠している極秘文書を国会に提出させ、そして谷内正太郎を国会に承知し、この極秘文書の存在を知っていたのかと詰め寄るのだ。

 この勝負、鈴木宗男の勝ちである。

 ちなみに、ファクタの記事を書いた高安倖史というジャーナリストは次のように鈴木宗男を批判している。

 「・・・鈴木質問の中には、気になる点があった。鈴木は、領土問題解決に向けた安倍の決意表明を聞くための質疑で次のように述べた。
 『元島民の思いは、島に(住むわけではなく)自由に行きたい、これが一番です。二つ目は、1島でも2島でも返してもらえるものは返してほしい、三つ目は海を使わしてほしい』、そこには、ロシアの『善意』を念頭に、主権論とは別次元の要望が明示されているだけだった」

 それを言うなら米国に主権を奪われたままの日本外交はどうなのだ。

 高安もまた騙されて来た一人だ。

 果たして安倍首相は、三木元首相が保管していた極秘文書を使って北方領土問題解決について歴史的業績を残す事ができるだろうか。(了)

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