このままコロナウィルス騒ぎが続けば、4月はじめの習近平主席の国賓訪日はもとより、7月の東京五輪も危うくなる。
そう私は書いてきた。
ところがきょう2月15日の各紙がそれを打ち消すようなニュースを掲載した。
ひとつは、延期されたはずの中国外交トップの楊ケッチ中国共産党政治局員の訪日が2月28、29日に行われるという記事だ。
もちろん、その時に、習近平主席の4月訪日を延期したいと通報してくるのかもしれない。
しかし、3月5日の全人代の前に延期を通知するだろうか。
むしろ逆ではないか。
すなわち、全人代ではコロナウィルス克服に全力を尽くす事が決定される。
その証として習近平主席の4月訪日は予定通り決行する。
だから協力してほしい。
そう言ってくるのではないか。
中国がそう言ってくれば日本がそれを断るは出来ない。
なぜなら、安倍政権は、日本側から延期を求めることはないと繰り返し表明して来たからだ。
それを覆すほどの、よほどの犠牲者が続出しない限り、日本は中国と一緒にコロナウィルス退治に全力をあげると言うしかないのだ。
もうひとつの記事は、IOCのコーツ調整委員長の発言だ。
東京五輪の準備状況を確認するために訪れていたコーツ氏は、日本側との折衝を終えた後、次のように語ったと言う。
「この国の公衆衛生当局を信頼している」と、東京五輪を予定通り開催する考えを示したという。
WHO(世界保健機構)から「中止や延期は特に必要ない」と伝えられたことを明かしたという。
もちろん、この二つの記事のうち、前者の記事の方がはるかに重要だ。
習近平主席の4月訪日が予定通り行われたら、東京五輪の7月開催はあたりまえになる。
だから2月末の楊ケッチの訪日がどのようなものになるのかが決定的に重要な意味を持つ。
ここからは私の推測だが、習近平主席は先日行われたトランプ大統領との電話会談で、トランプ大統領を説得したのではないか。
コロナウィルスの迅速な政治決着は、世界経済の危機を防ぐためにも必要だと。
それは大統領再選にとっても重要であると。
中国はその先頭に立つと。
その決意表明として4月の国賓訪日を決行すると。
それを認めて欲しいと。
そしてトランプ大統領はそれを認めたのではないか。
この習近平主席とトランプ大統領の合意の裏に安倍首相の動きがあったとはとても思えない。
しかし、結果的には棚からぼた餅だ。
自民党はもとより、野党からも反対の声が上がる中で習近平主席の国賓訪日を決行できる。
米中対立の中で、独自外交を行って日中関係改善を成し遂げた、と宣伝できる。
おまけにロナウィルス危機も沈静化させられる。
安倍首相の支持率はあがるだろう。
果たしてそううまくいくのか。
2月28日、29日に訪日する楊ケッチ政治局員の報道から目が離せない(了)
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