トランプ弾劾が始まったとき、私はボルトン補佐官がトランプ大統領の政治生命の鍵を握る事になると書いたことがあった。
なにしろ政権中枢にいてトランプ大統領の言動を一番よく知っている立場にあった人物だ。
しかも北朝鮮やイランに対する強硬政策を唱えてトランプ大統領に更迭された。
すべてを暴露して差し違えしてもおかしくないと思ったからだ。
しかし、トランプ大統領の近況を見て私は見方を変えた。
北朝鮮にしてもイランにしてもトランプ大統領はボルトンも真っ青になるほど強硬姿勢に転じたからだ。
それが奏功したかどうか知らないが大統領選で再選される可能性が強くなった。
もはやボルトンにとってトランプ大統領を批判する理由はなくなり、それどころか強くなったトランプ大統領に何をされるかわからなくなった。
負けそうな民主党に恩を売っても彼らは守ってくれない。
保身を考えると、ここはこれ以上トランプ大統領を怒らせるのは得策でない。
そう考えて弾劾裁判での証言は辞退するのではないか。
そう思い始めたからだ。
しかし、きょうの各紙を見て、私の思いはまた変わった。
二転した。
やはり、ボルトンがトランプ弾劾の鍵を握る事になるのだろうかと思い始めた。
その理由はこうだ。
ボルトン補佐官が近く暴露本を出すと米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。
その中には、トランプ大統領の顧問弁護士であるジュリアーニ氏がウクライナ大統領に圧力をかけていた事、そしてこれが外交の私物化だとバー司法長官に問題提起した事、さらにはポンぺオ国務長官も、内部告発したヨバノビッチ前駐ウクライナ大使をジュリアーニ氏が非難した事ついて、「根拠がない」と認識していたと、その本の中で「証言」しているというのだ。
こんな本を、弾劾裁判が佳境に入ったこのタイミングで出版するということは、もし議会証言が認められたら、ボルトンは弾劾裁判に出て、すべて明らかにする覚悟を決めたということではないのか。
しかもである。
ボルトンはこの草稿をホワイトハウスに送って許可を求めていたたという。
それに対してホワイトハウスは、削除しなければ出版させないと言っているらしい。
トランプ大統領は、ボルトンの告発本は全てうそだと怒っているらしい。
この告発本をめぐるドタバタ劇がメディアで大きく取り上げられたら、ウクライナ疑惑の前に、言論弾圧で、トランプ大統領は窮地に立たされかねない。
やはりボルトンがトランプ大統領の政治生命のカギを握るのか。
そう思わせる、ボルトン補佐官の告発本出版騒ぎである(了)
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