「尻尾に振り回される犬」という言葉がある。
私がこの言葉を知ったのは、「イスラエルに振り回される米国」の事を揶揄した文章を読んだ時だ。
ユダヤ系米国人は米国の総人口の2-3%らしいが、そのユダヤ系米国人は、米国の政治、金融、メディア、弁護士など、米国を動かす層の半数を占めるという数字がある。
ユダヤ系米国人に嫌われては、米国では選挙にまず勝てないのだ。
だから米国の政策は、ちっぽけなイスラエルに振り回される、そういう意味だ。
しかし、きょうの、この記事を読むと、イスラエルも米国に従属するしかないと言う気にさせられる。
きょうの一部の新聞が小さく次のように報じていた。
イスラエルの野党勢力を率いるガンツ元軍参謀総長は1月25日、米政権の招待を受け入れて訪米し、トランプ大統領と27日に会談すると表明した。ロイター通信が伝えた、と。
これには驚かされた。
報道によれば、ガンツ氏と激しい政権争いをしているネタ二ヤフ首相がやはり訪米して28日にトランプ大統領と会う。
これは前から決まっていたことだ。
きょうの記事によれば、その直前に、野党党首が招待を受けてトランプ大統領と会うと言うのだ。
呼ぶ方も、呼ばれて喜んで行く方も、そして政敵を呼ばれても文句の一つも言わない与党党首も、どっちもどっちだ。
なぜこんな奇妙な起きるのか。
それはトランプ大統領が28日にも発表するパレスチナ和平提案が、イスラエルにとって与野党を超えて大歓迎であるからだ。
この和平提案は和平提案とは言うものの、イスラエルによる入植、つまりパレスチナを併合を、事実上容認するものだ。
パレスチナ併合は、イスラエルにとっては与野党を超えて一致した悲願だ。
これまでの米国のどの大統領もそんなことを提案してくれなかった。
だからその提案を事前に説明するからワシントンに来てくれとトランプ大統領に要求されれば、与党も野党も喜んで行くのだ。
パレスチナの併合に関してはイスラエルは与党も野党もないのである。
おまけにトランプ大統領は、イスラエルの最後の敵であるイランの核放棄を迫って、戦争も辞さない。
イスラエルはトランプの米国さまさまなのである。
もう一度繰り返す。
与党と野党の党首が米国の招待を受けて訪米する。
しかも同時にではなく別々にだ。
しかも野党党首のほうが一足先に訪米する。
こんな国は、世界広しと雖もイスラエルだけだろう。
そう書いたところで思いついた。
日本がある。
もしトランプ大統領が、今後とも日米同盟をよろしく、と野党党首に招待状を出せば、日本の野党党首でこれを拒否する党首はいないのではないか。
与党も野党も、内では喧嘩するが、米国の前では、競って愛想を振りまく。
イスラエルと日本は同じだ。
そう思わせる、きょうのガンツ・イスラエル野党党首の訪米記事である(了)
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