きのう1月15日の各紙が報じた。
政府は14日、天皇、皇后両陛下が4-6月の間に英国を公式訪問される方向で調整すると発表したと。
この記事を、違和感を持って受け止めた国民は多いはずだ。
あまりにも突然であるからだ。
しかもである。
調整するというのはウソで、事実上決まっている。
英国側はそれを受け入れたからだ。
もはや決定事項だから政府はそれをメディアに一斉に書かせたのだ。
ということは、国民の知らないところで周到な準備が進められていたということだのだ。
メディアもそれを知りながら書かなかったのだ。
問題は、誰が4-6月の英国訪問を言い出したかだ。
天皇、皇后がみずから言い出すはずがない。
もし、そうなら、象徴天皇からの逸脱だ。
だからといって、政府が勝手に決めて、それを天皇、皇后に押しつけるわけにはいかない。
それがばれたら一大政治問題になるからだ。
これは官邸官僚と宮内庁官僚の合作である。
安倍首相は宮内庁官僚を通じて天皇、皇后両陛下の意向を打診し、了承を得た上で決めたのだ。
結論から言えば、天皇に即位して初めての外国公式訪問先として英国を選ぶことは、政府にとっても天皇、皇后両陛下にとっても、無難であり、異存はない。
米国だとあまりにも従属的だ。
中国や韓国だとあまりにも政治的議論を呼ぶ。
伝統的な王室国家であり、議会制民主主義の国であり、両陛下にとってなじみの深い英国こそ、はじめての公式訪問にふさわしいといえる。
だから、国民としても英国が選ばれたことに異論はないだろう。
私が問題視するのは、安倍首相と新天皇の合意があればそれで決まりでいいのかということだ。
象徴天皇は日本国および日本国民の統合の象徴であるはずだ。
そうであれば、民意を代表する国会を通さずに勝手に決めるわけにはいかないだろう。
しかも、国会が事後的、形式的に追認すればいいという事ではなく、実質的な決定権をともなった形にならなければいけない。
そのための十分な事前協議が政府と与野党でなされたのだろうか。
我々の知らないところでなされていたならいい。
確かに、新天皇の公式訪問の時期や訪問先を事前に公表し、国会で公開の議論を行う事はなじまないかもしれない。
だから水面下で与野党の協議があったのだろう。
だったら、いまからでも遅くないから、それを国民に知らせなければいけないと思う。
いまの宮内庁は事実上、安倍政権の言いなりだ。
だから官邸と宮内庁で決めらなら、それは安倍首相が決めたも同然だ。
安倍首相が決めて、もはや変更の余地がなくなった時点で国民に知らされるというのでは象徴天皇制は形骸化する。
繰り返して言う。
メディアはいまからでもその決定過程を国民に知らせる使命がある。
ところが、発表から丸一日がたっても、一切の関連報道がない。
まるでかん口令が敷かれているようだ。
異論をはさませないかのごとくだ。
私が違和感を覚えるのはその事である(了)
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