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周到に進められていた中国による尖閣諸島の実効支配の衝撃

 きょう12月30日の地方紙(下野新聞)が共同通信のスクープ記事を大きく報じていた。

 すなわち、2008年12月8日に中国公船がはじめて尖閣諸島(中国名・釣魚島)領海に侵入した事件は、中国指導部の指示に従った周到な行動であった事を、当時の指揮官が共同通信の取材に応じ、証言したというのだ。

 この指揮官とは、上海市にある中国太平洋学会海洋安全研究センターの郁志栄主任(67)であるという。

 海軍出身で2008年当時は東シナ海を管轄する海監東海総隊の副総隊長として初の領海侵入をした広船に乗船して指揮していた人物であるという。

 その郁志栄氏が要旨次のように語っている。

 すなわち、2008年6月に日本の巡視船と台湾の遊漁船が尖閣領海内で衝突、台湾船が沈没した事故をきっかけに中国国内で管理強化を求める声が高まり、外交面での影響も内部議論をした結果、最終的に中国政府の方針によって中国巡視船による領海侵犯を決定したというのだ。

 しかもである。

 将来的に国連海洋法条約に基づいて尖閣領有権問題が国際法廷で訴訟になった場合、「中国公船が一度も領海に入っていなければ敗訴する」との危機感を中国政府は抱いていたという。

 だから領有権主張の証拠にする写真や動画を撮影し、位置情報も記録していたという。

 それから11年がたち、日本の実効的支配をおそれていた中国が、いまや実効的支配を完了したかのごとく、毎日のように尖閣沖の領海侵犯をくり返している。

 このスクープ記事のどこが衝撃的であるのか。

 それは習近平主席の来年4月の国賓訪日を直前に控えたタイミングで、元海軍の責任者を使って、尖閣領有権問題は終わったと言わんばかりに、中国が安倍首相に警告しているからだ。

 ただでさえ習近平主席の国賓訪日に異論が出始めている時だ。

 尖閣領有権問題で下手な妥協を安倍首相は出来ない。

 それを見越した上で、わかっているだろうな。

 尖閣領有権問題は持ち出すな。

 もう中国の実効的支配は完了している。

 そう、習近平主席は安倍首相にメッセージを送っているのだ。

 安倍外交はここでも行き詰まる事になる。

 しかしである。

 安倍首相が頭が良ければ、習近平主席が投げたくせ玉を見事に打ち返すカードがある。

 それは棚上げを提案して世界の前で習近平主席に飲ませることだ。

 かつて中国はまだ国力が今ほど大きくなっていない時、棚上げを持ち出した事があった。

 その時日本はあくまでも尖閣領有権を主張して取りあわなかった。

 そしていまは立場が逆転し、中国は尖閣の実効支配を既得権のごとく主張するようになった。

 だからこそ棚上げを提起するのだ。

 かつて中国から言い出した棚上げを、大国になったからといって拒否するのは、覇権主義ではないか。

 覇権主義は、我々の先輩たちが苦労して合意した日中4原則に違反する事になる、といって。

 習近平主席は反論できないだろう。

 もし今度の習近平主席の国賓訪日の際につくる第五の文書で、尖閣領有権は棚投げする、つまり、どちらも領有権は自国にあると主張することをお互いに認めた上で、いまはそれを争う時ではない、いまは、棚上げし、日中間の経済・安保関係の発展を優先する、と言う事を書き込む事に成功すれば、安倍首相は間違いなく、歴史に残る首相になれる。

 いまの日本では、右翼はもとより、日本共産党ですら領有権を主張して譲らない。

 そんな中で、あらゆる反論をおさえて、ひとり安倍首相が棚上げを主張し、それを習近平主席と文書で合意できるなら、間違いなく歴史に残る偉業だ。

 そして、その偉業に立ちはだかる唯一の障碍が米国だ。

 ここでも安倍首相は米国に命運を握られることになる。

 最後ぐらいは、対米自立の外交をやってみろ、と、令和元年の最後に私は安倍首相を褒め殺したい(了)

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