パフォーマンス外交だったから、日本とイランは会談の成果をそれぞれ自分の都合のいいように発表している。
すなわち日本政府は21日、会談で安倍首相がイランによる核合意の逸脱に深刻な懸念を表明し、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れるように求めたことを明らかにした。
その一方でイラン大統領府は、ロウハニ大統領が安倍首相に対し、米国の制裁でストップしている原油取引の再開を求めた事を明らかにした。
それが言いっ放しで終わる事が分かっていても、お互いに構わないのだ。
それぞれが成果を発表して、ウィンウィンだったということで日本とイランは合意していたのだ。
それを前提にロウハニ大統領は訪日し、安倍首相は来日を歓迎したのだ。
ロウハニ大統領を答礼として受け入れた事自体が、双方にとって成果だったのだ。
そこまでは私が書いて来た通りだ。
しかし、共同が次のように小さく報じていた事を見つけて驚いた。
安倍首相は21日夜、トランプ大統領に電話して20日の会談結果を報告したとみられる、と書いている。
政府関係者が明かしたと書いている。
さらに驚いたのは、共同のその記事はこう続けている。
「イランと対立する米国は、会談結果を報告することを条件にロウハニ大統領の来日を了承した経緯がある」と。
なんということか。
安倍首相は、外交主権までもトランプ大統領に譲り渡していたのだ。
ロウハニ大統領を受け入れて、仲介外交をやったというパフォーマン外交をやらしてください。
そのかわりイランには米国の代弁をして厳しく対応しますから。
ウソでない証拠に、会談結果はすぐに伝えます。
というわけだ。
35年間外務省にいて歴代首相の外交を見て来た私だが、ここまで屈辱的な外交を見た事がない。
それを許す今の外務官僚たちは、外務省の面汚しだ。
こんな安倍外交の実態を知ってか知らずか、きょうの読売、産経、毎日が社説でそれぞれこう書いている。
「中東安定への一助としたい」、「仲介役が日本の国益だ」、「緊張緩和への努力継続を」と。
どこまで安倍首相に忖度すれば気が済むメディアなのか。
ウソを書かず国民に本当の事を知らせろ、という事である(了)
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