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ゴルビーの言葉は核廃絶の先頭に立てない日本への強烈な批判だ

 きょう12月17日の朝日新聞が、「ゴルビーの言葉いまこそ」という見出しの長大なインタビュー記事を掲載していた。

 「若い世代にとっては、もはや歴史上の人物かもしれない。『ゴルビー』の愛称で親しまれたミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領(88)・・・」

 こういう書き出しで始まるそのインタビュー記事は、レーガン元米大統領と歴史的な中距離核戦力全廃条約を締結したゴルバチョフ氏の核廃絶に向けた渾身のメッセージだ。

 私がその長大なインタビュー記事の中で特に注目したのはゴルバチョフ氏が核廃絶に踏み切ったきっかけを語っている次の言葉だ。

 「・・・私の人生は二つに分けられます。チェルノブイリ事故までと、その後と、です。自力で被害を食い止めるのに必死でした。核兵器による被害の経験はありませんでしたが、この事故は、核兵器を何とかしなければと考えさせる教訓になりました・・・」

 ゴルバチョフのソ連が米国との軍拡競争に負けたのは、軍拡競争による経済的負担に耐えられなくなったこととチェルノブイリ原発事故だったと当時指摘されたものだ。

 その一つが、ゴルバチョフ氏みずからの言葉で証明されたということだ。

 このインタビュー記事は、ゴルバッチョフが成し遂げた中距離核戦力全廃条約を一方的に廃棄したトランプ大統領に向けられた怒りのインタビュー記事である。

 「厳しい表現を使ってすまないが」と断った上で、トランプ大統領のことを、「くそ!」とののしったというエピソードが書かれている。

 しかし、このゴルバチョフ氏のインタビュー記事は、同時にまた日本に対する強烈な批判でもある。
 
 「核兵器による被害の経験がない」ゴルバチョフ氏は、同時にまた「二度目の広島を誰も望んでいない」と繰り返す。

 そうなのだ。

 被ばくと原発事故の二つを体験したのは世界で日本だけだ。

 しかも今でも日本は原発事故の後遺症から抜け出せないままだ。

 それにもかかわらず、日本は核廃絶の先頭に立とうとしない。

 それどころか、米国の核の傘を優先し、核廃絶を望む世界の大多数の国々の期待を裏切って来た。

 ゴルバチョフ氏のインタビュー記事は、もちろん日本批判ではない。

 しかし、その長大なインタビュー記事が日本に迫っていることは、まさにそのことだ。

 それにしても、マハティール氏のインタビュー記事といい、このゴルバチョフ氏のインタビュー記事といい、共通するものは日本への期待と失望だ。

 そしてそこに共通していることは対米従属のゆえにもたらされる日本の裏切りだ。

 なぜ日本にはマハティールやゴルバチョフのような指導者が出てこないのか。

 ただの一人も出てこない。

 出てくる見通しもない。

 日本の政治の大問題である(了)

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