今の自衛隊の幹部の中には、旧帝国軍人を父に持つ二世がまだ残っている。
二世だからすべて悪いということはもちろんない。
しかし、旧帝国軍を誇りに思って、新憲法下になっても自衛隊を軍隊だと勘違いしている者がいる。
河野克俊前統合幕僚長もその一人だ。
なにしろ、現役時代は、安倍首相に重用されて異例の長さで制服組のトップを務め、安倍首相の御用聞きのごとく、自衛隊をどんどんと憲法違反の軍隊にしていった人物だ。
シビリアンコントロールなど糞くらえと言わんばかりの言動を繰り返した人物だ。
その河野克俊氏が、やっと今春、現役を退いたと思ったら、講演会やマスコミで、やたらに暴言を繰り返している。
現役を引退してただの人になったから、もはや何を言っても許されると言わんばかりだ。
きょうの共同通信が配信したインタビュー記事もそのひとつだ。
なんと、河野氏は、自ら統幕長を務めていた2017年後半の米朝関係について、「米軍の軍事オプションはありうると思っていた。(あの時ほど)軍事衝突の可能性を身近に感じたことはなかった」と語っているのだ。
当時の彼は米国の軍事情報を日本の誰よりもよく知りうる立場にあった。
私は、その発言は、てっきり確かな極秘情報に裏付けられた発言だと思った。
さては、そのような極秘情報を河野氏は暴露してくれたのかと、興味を持って読み進めた。
そしてあいた口がふさがらなかった。
何の根拠もないのだ。
それどころか、米国が北朝鮮を攻撃するレッドラインがどこにあるかわからなかった、設定していなかった可能性もゼロではなかった、「もしかしたら」との思いはあった、と言っている。
何のことはない。
これでは、我々と何も変わらない。
勝手に思い込みで発言しているだけなのだ。
しかし、河野氏と我々は一つだけ大きな違いがある。
彼は、自衛隊の前統合幕僚長だ。
制服組のトップだ。
その河野氏が、「米朝軍事衝突はあり得た」といえばメディアがそれを大きく報道する。
何もわからない一般国民は、だから日本は危ない、守りを強化しなければいけない、と簡単に思い込んでしまう。
これほど世論を惑わす悪質な発言はないのだ。
歴史はすでに証明している。
トルーマンもケネディも、核戦争の被害を恐れてロシアを攻撃する事はできなかった。
それから60年―70年たって、核兵器は破壊力を格段に高め、北朝鮮いまや日本も認める核保有国だ。
いま米朝間で戦争が起きれば核戦争につながり、そうなれば真っ先に壊滅するのは日本だ。
もし米国が北朝鮮を攻撃する事がわかれば、真っ先にそれを阻止しなければいけないのは河野克俊前統合幕僚長だったはずだ。
その河野氏が、現役を退いたからといって、こんな無責任な発言をしているのだ。
いたずらに世論を不安に陥れ、安倍首相の9条改憲を助ける世論操作をしている。
現役の時もひどかったが、現役を辞めてますます悪くなった河野克俊前統幕議長である(了)
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