いまから16年余り前、ブッシュのアメリカがイラクを攻撃しようとしていた時、レバノン人は、政治家、有識者から一般国民に至るまで、ため息交じりに、皆こう言っていた。
米国は一日でサダム・フセインのイラクを倒すことができるが、米国はその後のイラクを統治する事は出来ないと。
イラクは混迷し、イラクの混迷は中東全域を不安化させ、最悪の場合は世界が混迷すると。
残念ながら、中東情勢は見事にレバノン人の言うとおりに展開していった。
そして、ついにISという化け物が中東に出現し、そのISが鎮圧されたと思ったら、今度は、シリアを舞台にクルドとトルコの戦いが始まった。
ただでさえ不安定なシリアが、ついに戦場になるのだ。
この戦いは、長期にわたり、そしてその戦乱に紛れて、根絶されたはずのISが再び勢いづくおそれがある。
それにしても、トルコのエルドアン大統領のクルド弾圧は残念だ。
イスラエルのパレスチナ弾圧をあれほど厳しく非難してきたエルドアン大統領が、クルドに対してはイスラエルと同じような事をしている。
国を持てない流浪の民族は、かつてはユダヤ人だった。
そのユダヤ人が、いまではパレスチナ人を難民という名の流浪の民に追いやって久しい。
そして、今度はクルド民族だ。
国を持てないユダヤ人やパレスチナ人はせいぜい数百万から1千万と言われているが、国を持てないクルド人は3000万を超えると言われている。
いわば世界最大の難民だ。
中東情勢は混乱し、その混乱は世界を巻き込む。
そして、レバノン人の描く最悪のシナリオは、イランとイスラエルが戦争を始める時だ。
中東情勢は日本の手に負えるものではない。
日本は関わってはいけない。
その代わり、日本がなすべきことは東アジアの平和の実現だ。
正しい歴史認識に基づいて、真っ先に韓国との関係改善を図り、南北朝鮮の融和に貢献し、そして中国に対して平和四原則に基づいた正しい関係を築かなければいけない。
見せかけの関係改善ではなく、中国の覇権主義や少数民族弾圧は許さないと直言できる、憲法9条の精神に従った本物の関係改善である。
そのためには、憲法9条を国是として世界に掲げる国になる必要がある。
国際情勢は、ますます憲法9条を必要としているのだ。
国際情勢は、この国の政治の中に、新党憲法9条の誕生をますます必要としているのである(了)
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