突如として英独仏の首脳がイラン非難の声明を発した。
「イランが(サウジ石油施設攻撃の)責任を負うのは明白だ」と。
よほど動かしがたい証拠が確認されたのだろう。
この豹変が、今後のイラン情勢に与える影響は計り知れない。
おりからトランプ大統領は国連総会演説でイランを非難し、国際社会によるイランに対する圧力強化を訴えた。
イラン情勢が更なる対決構図に進展していく事は避けられない。
しかも、英仏独の豹変は、サウジ攻撃非難にとどまらない。
2015年のイラン核合意の見直しにまで及ぶことは必至だ。
つまり、イランは、非核化に向けた、より厳しい欧米との合意を迫られることになる。
その背景にはイスラエルの存在がある。
つまり、イラン・サウジの代理戦争から、イランとイスラエルの代理戦争に発展するということだ。
あのイラク攻撃の時、フランスのシラク大統領とドイツのシュレーダー首相は最後まで米国のブッシュ大統領に反対した。
その時と比較した時、今度の英仏独の豹変は、いかにイランにとって大きな圧力になるか、わかるだろう。
もちろん、イランはそれでも屈しない。
あの時のサダム・フセインのイラクと、今のハメネイ師のイランとでは、国の強さが違う。
なにしろ、イラク、シリア、レバノンに根拠を持った「テロ国家」であるからだ。
中東は危機的状況になる。
今後の展開は予測がつかないほど深刻だ。
しかし、私がここで指摘したいことは、この英独仏の豹変が、安倍首相とロウハニ大統領の会談の直前に起きた事だ。
安倍首相とその取り巻きはさぞかしうろたえているだろう。
ロウハニ大統領との会談の発言ぶりを、あわてて書き直しているだろう。
日米同盟を最優先する安倍首相は、あっさり米欧と歩調を合わせてイランに対する厳しい姿勢に転じるだろう。
しかし、そうなったら日本はイランも中東も失う。
テロとの戦いに巻き込まれる。
日本は中東にだけは手を出してはいけないのだ。
日本がすべての外交問題に首を突っ込むような真似はしてはならないし、する必要はない。
中東情勢で日本に期待する国などどこにもない。
ましてや、いまの安倍首相は、韓国、北朝鮮、中国との深刻な問題を抱えている。
イラン情勢に首を突っ込む余裕などないのだ。
外交を誤れば国が滅ぶことになる(了)
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