今日発売の週刊文春(6月27日号)に、先般のイラン仲介訪問に関する安倍首相の肉声が伝えられている。
すなわち、安倍首相はイラン仲介訪問の直前にこんな強気の発言をしてたというのだ。
「米国からは『絶対に行ってくれ』といわれ、イランからは『絶対に来てくれ』といわれているから」
それほど両国から期待されているから行くんだ、といわんばかりだ。
しかし、もし安倍首相が言っていることが本当なら、安倍首相は見事に米国とイランの双方から利用されたと気づくべきだ。
つまり、米国にとっては、安倍首相の仲介をはねつけるイランは、やはりイラン合意を破って核開発を進めようとしている危険な国だ、という印象を世界に与えることができる。
だからどうしても安倍首相にイラン仲介訪問をして失敗して欲しかったのだ。
その一方で、イランにとっては、悪い国はイラン合意を一方的に破った米国だ、まさか友好国の日本はそんな間違った米国に従って米国の制裁に加担するような事はしないだろうと、世界の前で表明できる。
つまり、米国もイランも、それぞれの宣伝の為に安倍首相の仲介外交を利用しようとしていたのだ。
だから是非行ってほしい、来てほしい、と要望したのだ。
それに気づかずに、あたかも自分のイラン訪問が双方から熱望されていると有頂天になり、訪問しても何の仲介もできなかった恥をかかされた。
挙句の果てに、自国タンカーが何者かに攻撃され、米国とイランの非難の応酬に巻き込まれてしまった。
そのことについて米国紙(ウォール・ストリート・ジャーナル)から「中東和平の初心者が痛みを伴う教訓を得た」と酷評されてしまった。
週刊文春のその記事は、こう結んでいる。
周囲に「こういうこともある」と平静を装う安倍首相だが、国際社会の厳しい現実に直面している、と。
安倍イラン仲介外交の失敗をあますことなく教えてくれた週刊文春の見事な記事である(了)
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