すっかりニュースから消えたベネズエラの政変劇だが、まだ続いている。
きょう5月30日の読売新聞が、マドゥロ政権打倒を目指す反体制派指導者のグアイド国会議長とのインタビュー記事を掲載した。
それによると、グアイド氏は強気だ。
「(クーデターは)進行中であり、まだ終わっていない」
「米国と連携してマドゥロ政権打倒を目指す」と言っている。
ベネズエラ軍であれ、米軍であれ、最後は軍事力が政権を決める事になるということだ。
民衆を苦しめる政権か、あるいは米軍が陰に陽に介入して軍事力でつくられる政権か、ベネズエラ国民にとっては不毛の選択なのだ。
しかし、私がここで言いたいのはその事ではない。
グアイド氏は読売とのインタビューの中で、次のように、日本からの支援の継続に期待をしたというのだ。
「ベネズエラでの平和で迅速な変化に(日本支援は)大きく貢献してくれるだろう」と。
このグアイド氏の言葉は、日本のグアイド支持表明が、外交的に如何に間違っていたかを見事に証明してくれたのだ。
ある国で政権が起きた時、新政権を承認すかどうかは、慎重に判断するのが外交の鉄則だ。
つまり、その新政権が、専門用語でいう「実効支配」、つまり権力と民意を掌握することを見極めた上で、承認するのが慣例だ。
私が外務省にいた時もそうだった。
なぜならば、早期承認はどちらかに肩入れすることになるからだ。
情勢が変われば敵対行為になる。
ベネズエラでグアイド氏による政変が起きた当初、外務省は中立を保った。
ところが、おそらく米国の要請があったのか、それとも米国を忖度したのか、日本は、いきなりグアイド氏を支持して、マドゥロ政権の駐日大使から異例の抗議を受けた。
そして今度はグアイド氏の発言だ。
日本が早々とグアイド側を支持してくれた事は助かったとグアイド氏は認めたのだ。
そしてこれからも支持し続けてくれと言ったのだ。
日本のグアイド側支持表明が、いかに中立性を欠いたものだったか、その動かぬ証拠である。
そして、読売新聞もまたグアイド氏とのインタビュー記事を掲載してグアイド側を支持したのだ。
おそらく日本政府も読売新聞も、米国側から聞かされているのだろう。
そのうちマドゥロ政権は倒れ、グアイド政権になると。
だからグアイド氏を支持しておいても大丈夫だと。
ベネズエラ国民が自らの指導者を選ぶならいい。
しかし最後は米軍が介入してグアイド政権ができる事態だけは避けてもらいたいものである(了)
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