北朝鮮の崔善姫外務次官がきのう3月15日、記者会見を開き、「我々はいかなる形でも米国の要求を受け入れる気はないし、このような交渉にはかかわりたくない」と述べたらしい。
沈黙して来た北朝鮮がついに自らの立場を明らかにしたのだ。
この北朝鮮の外務次官のひとことで、米朝非核化交渉の攻守は見事に逆転した。
すなわち、ハノイ会談の未合意以来、米国の北朝鮮に対する断固とした完全非核化方針が奏功し、北朝鮮は窮地に追い込まれた、金正恩委員長はトランプ大統領を甘く見た、北朝鮮は譲歩せざるを得ないだろう、などと、言う見方が世の中を覆った。
北朝鮮が沈黙し続けた事も、そのかって読みを増長させた。
ところが、ついに北朝鮮が意思表示した。
このままでは交渉はやる意味がなくなったと。
じつは、これは崔善姫次官が合意に至らずに終わったハノイ葉の意会談の記者会見でつぶやいた言葉だった。
金正恩委員長はやる気をなくすのではないかと。
そして、それは無理もないのだ。
段階的非核化と段階的制裁解除でシナリオが出来ていたのに、トランプ大統領が一方的にそのシナリオを白紙にしたからだ。
その理由は顧問弁護士の裏切りで弾劾の危機に追い込まれたからだ。
しかし、そのことをトランプはおくびにも出せなかった。
だから、ボルトンやポンペイの助言に従った事にしたのだ。
実際のところ、その囁きに負けた。
下手な合意をして議会を怒らせるのは得策でないとささやかれて弱気になったのだ。
そして、会談後、トランプは国内の政争に明け暮れた。
しばらくは北朝鮮の非核化にかまける余裕はない。
金正恩ならずとも、しばらくは交渉できなくなったと思うのはあたりまえだ。
しかしトランプはシナリオを狂わせた事で大きな失敗をした。
交渉が決裂したからといって、北朝鮮を攻撃する事は出来ない。
北朝鮮を攻撃する事が出来ないからこそ交渉を始めたのだ。
そして北朝鮮との交渉がこのまま凍結されれば、北朝鮮の核を事実上容認する事になる。
こんな事になるくらいなら、段階的非核化と段階的制裁解除に応じ、最終的に完全非核化させたほうがよかったと悔やむ事になる。
もはやボルトン、ポンペイを伴ったトランプでは北朝鮮の非核化は無理だ。
いよいよ中国とロシアを巻き込んだ5国協議を始めなくてはならなくなる。
米国と北朝鮮の攻守が完全に逆転する事になるのである。
それにしても、いつもながらの日本の惨状だ。
米朝交渉がうまく行けば出る幕がなく、米朝が戦えば真っ先に犠牲になる。
もちろんその時は拉致問題など吹っ飛ぶ。
安倍外交破れたり、である(了)
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