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「天皇が謝罪すれば解決する」という韓国国会議長の発言に思う

 韓国の文喜相国会議長が、慰安婦問題の解決には天皇陛下の謝罪が必要であるとの趣旨の発言をしたと米ブルームバーグ通信が流したのは8日だった。

 これをインターネットで知った私は直感した。

 この発言で日本は大騒ぎになるだろう。

 日本の反感感情はさらに高まり、日韓関係の悪化はいよいよ不可逆的になるだろうと思った。

 韓国メディアはさっそく9日の報道で一斉に報じたという。

 ところが、日本のメディアは一日遅れてきょう10日、このニュースを報じた。

 しかも、どの報道も、申し合わせたように2段の小さな記事に抑えている。

 右翼の産経すらそうだ。

 私の懸念は見事に外れた格好だ。

 もちろん、明日以降の報道で騒ぎ出すかもしれない。

 そうすれば日本の世論も騒ぎ出す。

 しかし、私はそうならない気がする。

 そして、もしこの韓国の国会議長の発言がこれ以上日本のメディアで大きく報道されずに終わるなら、それは安倍政権が これ以上韓国との関係を悪化させるのは得策ではないと、抑止する方向に舵を切ったということだ。

 それを忖度したメディアが、抑制的に報道しているということだ。

 いや、安倍政権はもっとはっきりとメディに騒ぐなと指示しているのかも知れない。

 そうでなければ、産経や読売が騒がないはずがない。

 それではなぜ安倍首相は大騒ぎにさせたくないのか。

 米朝関係が急速に進みそうになってきた中で、日本だけが取り残されてはいけないと考えたからだ。

 拉致問題解決のためには北朝鮮との関係改善が不可欠であり、そのためには日韓関係をこれ以上悪化させることは得策ではないからだ。

 米国が北朝鮮の非核化を進めようとしている時、日米韓同盟を壊すなとついに米国が言って来たのかもしれない。

 それよりもなによりも、あの北方領土問題で野党から国会で追及された安倍首相が、反発するどころか、批判を甘受すると素直に認めたことから推測できるように、安倍首相はここにきて、強硬姿勢から低姿勢に舵を切ったのではないか。

 選挙対策のため、ソフトイメージに方向転換したのかもしれない。

 それとも、まったく逆で、韓国叩きで支持率が回復したからもう十分だという自信の表れなのか。

 あるいは、きょう2月10日の産経で小野寺五典前防衛相が言っているように、「丁寧な無視」で行くことに決めたのか。

 あるいは、いまその対応策を考えているのかもしれない。

 一日置いて、激しく反発し始めるのかもしれない。

 いずれにしても、韓国国会議長の天皇謝罪発言が与える今後の日韓関係から目が離せない。

 それほど大きな問題提起をした発言であると私は考えている(了)

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