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「朝日新聞は米国の走狗だ」と酷評した高山正之

 高山 正之(たかやま まさゆき、1942年 - )という言論人がいる。

 元産経新聞の記者で、その主張は産経新聞のそれと同じだ。

 いわゆる、愛国右翼であり、左翼批判ばかりしている言論人だ。

 そんな高山氏が朝日新聞を批判するのはわかる。

 しかし、慰安婦問題や反原発で朝日を批判しているのではない。

 朝日の対米従属ぶりについて批判しているから私は注目した。
 
 きょう発売の週刊新潮(2月7日号)の連載コラム「変見自在」で、「朝日は左翼新聞などじゃない。ただの米国の走狗だ」と決めつけている。

 その批判ぶりはこうだ。

 すなわち、「昔の戦争は相手を皆殺しにし、すべてを略奪するのが形だった」、と言う書き出しで始まるそのコラムは、その例として、ユダヤ人の戦争を次のように語っている。

 「カナンの地に入ったイスラエルびとはミディアンびとの戦士を皆殺しにし、引き揚てきた」と。

 「モーゼは女子供も殺してこいと兵を出直させ、『処女は生かして弄ぶがいい。あなたたちへの神の贈り物だから』と言った」と。

 そして、どの民族もユダヤ人と同じ戦争の形を続けてきたが、近世になって少しはまともになった。欧州諸国では戦争はもう戦場だけにしよう、女子供を殺さないようにしようと申し合わせができたと。

 しかし、これを反故にしたのが新参者の米国だったとして、インディアンとの戦いを引用して米国の非道さを批判する。

 そして、米国の日本に対する占領政策を次のように批判する。

 戦後、焦土と化した日本は厳しい食糧不足に見舞われたがマッカーサーは関心すら払わなかったと。

 見かねた米国在住の浅野七之助が日系人社会に呼びかけて食糧や医薬品を送った(世にいうLALA物資)が、その救援物資を、GHQの公衆衛生局長(クロフォード・サムス)が出て来て、まるで「GHQが贈った風に装って派手な演出で引き渡したと。

 更に高山氏は続ける。

 米国政府はそのサムスより姑息だったと。

 余剰小麦をやるからその小麦で学校給食を始めろと、小麦粉食を基本とする「学校給食法」をつくらせ、それが全国に普及し、給食パン会社が全国にできたところで、突然小麦援助を打ち切ったと。

 国内産の小麦だけでは賄えない。

 しかし法律でパン給食が決められたからしょうがない。

 そこで米国から輸入する事となり国庫負担は増えたと。

 のちにマクガバン上院議員がこう告白していると。

 「小麦援助と言う撒き餌でパン給食をやらせ、日本を米農産物の最大の買い手に仕立て上げたのさ」と。

 嵌められた、それじゃパンをやめちまうか、との声も出たが、GHQはそれを見越して手を打っていたと。

 それに加担したのが朝日新聞だと。

 「親が自分の好みで子供に米食をつきあわせてはならない」(天声人語)と書き、ごはんなど捨てよと促したのだと。

 ここまでは、占領政策下の話だ。

 それから半世紀たって、高山氏は最近の学校給食がびっくりするほどパン離れになっている事について、朝日がこう書いていると批判している。

 「農政の失敗で大量にあまった政府米を給食に押し付けた」結果だと。
 
 こんな事を書く「朝日は左翼新聞などじゃない。ただの米国の走狗なのだ」と。

 私も朝日は日米同盟を優先する新聞社であると批判して来た一人だ。

 しかし、ここまで酷評する勇気はない。

 それにしても、ユダヤや米国の戦争を批判し、朝日を米国の走狗呼ばわりをする高山氏は勇気がある。

 お前には言われたくないと言い返してくるような気がするが、高山氏はいまの日本では広く受け入れられることのない異色の言論人である(了)

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