平成最後の安倍首相の施政方針演説の中で、一番追及されなくてはいけない箇所は、安倍首相が明治天皇の歌を引用したくだりだろう。
すなわち冒頭の「はじめに」の部分で、明治天皇の歌「しきしまの大和心のおおしさはことある時ぞあらわれにける」を引用し、震災の困難から復興する地方を鼓舞した。
しかし、この歌は、帝国主義時代の日露戦争開戦に当たって明治天皇が詠まれた御製だ。
その事を知っている一般国民はいまやほとんどいない。
しかし、少なくとも政治家はそれを知らなくてはいけない。
それを知らない政治家が多いと言っても、少なくとも政党は知らなければいけない。
ましてや、安倍政権を倒そうとする野党ならなおさらだ。
なぜならば、この引用こそ、歴史認識に暗く、戦争に突き進む安倍首相の政治のもっとも否定さるべき部分であるからだ。
しかも、天皇制と国民主権の両立に腐心しながら退位されようとしている今上天皇を逆なでする安倍首相の暴挙であるからだ。
それなのに、この施政演説を正面から批判したのは共産党の志位委員長だけだった。
すなわち、28日の記者会見で「日露戦争のさなかに戦意高揚のために使われた歌だ。日本国憲法の平和主義に真っ向から反するものだと強く抗議したい」と志位委員長は非難した。
この非難こそ、野党第一党の枝野代表が、野党共闘を代表して行うべきものだったのだ。
そして通常国会の冒頭で安倍首相に釈明を求め、もし安倍首相がそれに応じなければ国会審議をストップさせるぐらいの大問題にすべき問題なのである。
しかし、その気配はまったくない。
メディアもまったく取り上げない。
いまの政治とメディアがいかに劣化しているかだ。
野党共闘がいかに底が浅いかだ。
そのことを証明する動かぬ証拠である。
安倍暴政がのさばるはずである(了)
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