ゴーン事件が新たな展開を見せた。
仏紙ルモンドなどが、竹田JOC会長を東京五輪招致の際の贈賄容疑で捜査していると報道したからだ。
政府関係者はゴーン事件とは無関係だ、単なる偶然だ、などと冷静を装っているが、明らかにゴーン事件に対する日本の司法当局への圧力だ。
司法当局の背後にある安倍政権に対するメッセージだ。
いよいよ日本はゴーン事件で窮地に立たされることになる。
竹田会長の贈賄容疑捜査報道の衝撃は二つある。
ひとつは、贈賄そのものの有無だ。
竹田会長が贈賄していたなら、それは日本政府が贈賄していた事になる。
その場合はもちろん東京五輪は吹っ飛び、安倍政権は総辞職せざるを得ない。
しかし、この問題は、すでに2年前にコンサルタント契約に基づいた正当な対価として政治決着している。
そもそも、オリンピックの招致が買収されることは周知の事実だ。
そんなことを認めてしまえば、オリンピック自体が成り立たなくなる。
だから、竹田会長に関する贈賄容疑は政治的に成り立たない。
それを知っていながら、今になってフランス司法当局が捜査を続けていると突然報道されたということは、明らかにゴーン事件に対する仏側の報復的脅しなのである。
ただでさえ、日本の捜査の人権軽視について外国の批判が高まり始めた時だ。
いよいよ検察は追い込まれる事になる。
そこで問題になるのが、安倍政権とゴーン事件のかかわりである。
安倍政権がゴーン逮捕を指揮し、積極的に動いたということは、さすがにあり得ないだろう。
もしそんなことをしていたら、それがばれた時点で安倍政権は即、終わりだ。
問題は、安倍政権が今回の検察の一連の捜査について、事前通報を受け、それを明示的、あるいは黙示的に、承認していたかどうかだ。
そして、これまでの日本の政権と検察の関係から考えれれば、検察が政府に一切連絡せずに独断で行ったとは考えられない。
ましてや、今の、安倍・菅政権の下では、検察・警察・司法は完全に安倍政権の顔色をうかがって動いている。
もし今度のゴーン事件に安倍政権が、たとえ暗黙的にせよ、関与していることがわかれば、その時こそ安倍政権は国際批判の矢面に立たされる事になる。
そして、その背後に米国の影がちらつけば、国際問題にまで発展する。
いよいよ検察は追い込まれて来たということだ。
その深刻さを、きょうの朝日新聞が見事に認めている。
つまり、検察から情報をもらってスクープ報道し、以来、一貫してゴーンを悪者にして検察寄りの記事ばかり書いてきた朝日が、きょう1月12日の一面トップで、検察捜査の独善性を批判し始めたのだ。
この朝日の手のひら返しの裏切りこそ、ゴーン事件が世界から批判の目で見られ始めたことへの危機感の表れなのだ。
しかし、検察はいまさらゴーン追及の手を緩めるわけにはいかない。
そんなことをすれば安倍政権からやめろと指示があったことを認める事になる。
検察は進むも地獄、退くも地獄だ。
そして、それはとりもなおさずゴーン事件で安倍政権が置かれている苦境でもある。
折からあらゆる外交の行き詰まりが表面化してきた。
それに加えてゴーン事件だ。
待ったなしに外交の安倍の真価が問われている(了)
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