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損害賠償支払いを拒む米軍とそれを肩代わりする日本政府

 きょう12月19日の各紙がこぞって一段の小さな記事で報じた。

 今年の2月に米軍三沢基地から飛び立ったF15戦闘機が離陸直後にエン
ジン火災を起こし、近くの小川原湖に燃料タンクを投棄した事件が起き
たことがあった。

 その事故に関連し、一時的に全面禁輸を余儀なくされた小川原漁協は、
日米両政府に計約9300万円の損害賠償を求めてきたが、その交渉が、
今般日米両国で約8500万円の損害賠償を支払う事で合意したことが
わかった、と言う記事だ。

 この事自体は問題はない。

 満額回答ではないが、ほぼ要求に沿ったものだ。

 問題は、その負担額を日米両政府がどのように分担したかである。

 ところが、どの記事も肝心なその分担額が見事に欠落している。

 なぜか。

 日本政府が公表しないからである。

 メディアはなぜ追及してその分担額を書こうとしなかったのか。

 それは追及しても日本政府が明かさない事を知っているからだ。

 だから追及しなかったか、あるいは追及しても、追及して見るだけ
に終わったからだ。

 なぜ日本政府は追及しても明かさないのか。

 それは明かせば都合が悪くなるからだ。

 事故が起きた場合の日米両政府の損害賠償分担額は日米地位協定で
はっきりと書かれている。

 すなわち、米軍に責任がある場合は米軍が75%を負担し、25%
を日本政府が支払うことで合意されている。

 日本に責任がない場合でも25%も日本が分担する事自体不平等な
合意であるが、米軍は日米地位協定で義務付けられている75%さえ
も支払ってこなかった。

 そして、日本政府はその事に対し米国に強く支払い要求をしてこな
かった。

 これは知っている者は知っているが大部分の国民は知らない。

 おそらく今度も米軍は75%の負担を履行していないおそれがある。

 それどころか、びた一文払わずに、日本政府が国民の税金で全額負担
させられた可能性さえある。

 その事が明らかにされることを日本政府は嫌うのだ。

 だから聞いても教えないのだ。

 そして安倍首相に忖度するメディアは、安倍首相を困らせるようなこ
とは自粛するのだ。

 もし米軍が日米地位協定の合意を無視して損害賠償を負担していない
事を突き止めたメディアが、その事を一面トップに書いたなら、この問題
一気に大問題になる。

 国民の広く知るところなり、日米地位協定の見直し機運に拍車がかかる。

 それをメディアが知っているから、各紙とも申し合わせたように一段の
小さな記事でやり過ごし、しかも日米の分担額について一切書かないのだ。

 どうしようもないメディアの劣化である(了)

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