きのう12月11日、閣議後に開かれた外務省の記者会見で、河野外相
が北方領土交渉の見通しを記者から聞かれ、4回も立て続けに答弁を拒否
した。
いくら河野外相が強引でも、この答弁拒否は異常だ。
その背景に何があるのか。
それはもちろんわからない。
しかし、安倍首相が二島返還で決着する事を政治決断した経緯を振り返ってみると、推測はできる。
おそらく、そのいずれか、あるいはすべてが当たっていると思う。
北方領土交渉に関する一連の日ロ首脳会談の報道の中で、私が「おやっ」と思ったのは、アルゼンチンでの安倍・プーチン首脳会談で、今後の交渉がラブロフ・河野外相に委ねられたことだ。
安倍首相が2島返還に踏み切ったとされるその前の首脳会談では、プーチン大統領の横にいたのはラブロフ外相だったが、安倍首相の横にいたのは河野外相ではなく、谷内正太郎NSC局長だった。
つまり、密議ともいえる一番重要な会談の時に、河野外相は不在だったのだ。
その時点で、安倍首相は、北方領土問題は、自分一人でプーチン大統領と取引する事を決めたに違いない。
しかし、それでは河野外相の立場がない。
そこで、アルゼンチンでの首脳会談で、わざわざラブロフ・河野外相の
会談で今後の協議を行う事にして、河野外相の出番をつくったのだ。
しかし、その一方で、実際の交渉は次官級の官僚にゆだねた。
二島返還の指南役である佐藤優は、最近いたるところでこう解説している。
二島返還は裏ルートでの交渉で事実上決着したと。
その佐藤優の解説を知った時、私の推測は確信になった。
安倍首相は、来年6月の大阪でのG20の時に、間違いなく北方領土返還と日ロ平和条約の締結という歴史的偉業を達成するつもりだ」。
そして解散・総選挙に打って出る。
もちろん、それは完全な合意ではなく、お互いが自国に有利なように解釈できる同床異夢の合意だ。
その合意の正確なところは誰にもわからない密約に委ねられる事になる。
しかし、それでも、その合意は安倍首相が解散・総選挙に打って出るには十分な表向きの体裁をとる。
河野外相が4回も記者の質問を無視したのは、この密約のシナリオを悟られないように安倍首相に一切答えるなと厳命されたか、あるいは自分がダミーに使われている事に気づいた河野外相が、その質問は安倍首相に聞いてくれと抗議の意味でふてくされたのか、それとも、まったく知らされていないので、答えようにも答えられなかったか、そのいずれかだ。
どっちにしても、北方領土問題については河野外相の出る幕はない。
安倍首相にとっては、河野外相は、自分に代わって韓国政府に厳しく当たって憎まれ役に徹してくれればいいのだ。
もはや河野外相に首相の目はなくなった。
これも安倍首相の意向に違いない(了)
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