今度のゴーン事件では、ゴーンの私利私欲と日産の私物化ばかりに目が向けられているが、もう一つの関心事はルノーと日産の支配権争いがある。
それは取りも直さず大手自動車業界の生き残り競争の結果だ。
そして、それはルノーと日産だけの問題ではない。
すべての大手自動車業界が激しく生き残り競争を繰り広げている。
なぜそのような事になってしまったのか。
それを見事に言い当てた記事を見つけた。
きょう12月6日の日経新聞が、12月2日付の英国ファイナンシャル・タイムズのコラムを紹介している。
そこでラナ・フォルーハーと名乗るブジネス評論家がこう述べている。
「技術はあらゆるビジネスモデルを変えていく。これが、投資家が米ゼネラル・モーターズ(GM)から得るべき教訓だ。GMは米国とカナダの5工場を閉鎖し、1万4300人の従業員を解雇して、トランプ米大統領や労働組合幹部から批判を浴びている。トランプ氏も労組も、雇用が中国やメキシコに流れる事ばかり問題にする。だがGMが直面している最大の課題は、労働コストやアウトソ
ーシングや鉄鋼関税の問題ではない。真の問題は、クルマが高度な情報機器へと変わろうとしてる時代に、自動車業界全体の経済的価値の大きな部分を(GMが)抑える事が出来るかだ」と。
「価値の大部分がハードからソフトにシフトしていくだけではなく、様々なソフトをその上で動かすプラットフォームに価値が移っていくことだ。自動車メーカーも他の産業のどの企業も、こうした変革にいま直面している」と。
なるほど。
こう考えれば、すべてに合点が行く。
トヨタ社長が孫正義に頭を下げる事も、これからの自動車業界の競争市場が中国にあることも、ゴーン事件に米自動車業界が注視している事も、そして何よりも米国が中国のIT技術の急速な発展に警戒感を隠さない事も。
ゴーン事件の展開から目が離せない(了)
Comment On Facebook