それが意図されたものかはわからない。
おそらくそうではないだろう。
それどころか、ここまで政局になるとは思わず、経済の要請にこたえ
るために成立を急いだだけだったのかもしれない。
しかし、結果的に、今度の臨時国会の一大政局問題になってしまった。
そして、それは結果的に安倍首相に有利に働いた。
入管法改正案という外国人労働者受け入れ拡大法案のことである。
私はこの法案が今度の国会で急浮上したとき、これは安倍批判にはな
らない、安倍批判の本筋にしてはならないと警鐘を鳴らした。
もっと安倍首相を追い込めるテーマがある、限られた臨時国会で野党
が追及すべき問題はそこに一転集中すべきと書いた。
結果的にはそうならず、明けても暮れても、外国人労働受け入れ拡充
の是非をめぐる議論が国会の争点となった。
それを一大争点であるかのようにメディが取り上げた。
週末金曜日の深夜から始まったテレビ朝日の「朝から生テレビ」がこ
の問題を取りあげ、そしていまNHKが日曜討論で取り上げている。
その議論を見るまでもなく、外国人労働者の受け入れを認めることの
是非については、自民党も野党も、基本的なところで、それぞれの中で
バラバラなのだ。
問題があまりにも多面的で議論はかみ合わない
断わっておくと、私は外国人労働者受け入れには賛成だ。
憲法9条の精神に忠実なら、そういう考えになる。
しかし同じ護憲論者でも、絶対に反対だという者もいる。
これでは、いくら議論しても与野党対立のテーマにならない。
つまり政局にはなりえないのだ。
今度の入管法改正案で、誰もが一致して安倍首相を批判できること
といえば、法案の内容がない、拙速だ、聞く耳を持たない、それだけだ。
しかし、その批判こそ安倍首相が歓迎することだ。
対案を出さず、反対するしか能がない野党と逆襲すればいいからだ。
そして実際のところ、反対している野党の同じ顔ぶれをみれば、国民
はまたかと思うだろう。
かくて不毛な臨時国会は、まもなく終わる。
そのまま今年は終わり、来年からは本物の政局が走り出す。
安倍政権はますます支離滅裂になり、それを隠すために強引になる。
そして野党共闘はますます混迷を深め、いのままの野党なら、安倍・
菅暴政を阻止することはできない。
最悪の政治状況の中で、来年4月末に平成の時代が終わることになる。
このままではいけない。
本当の意味の政界再編が起きなくてはいけない。
それは、対米従属の日米安保でいいのか、その是非をめぐる政界再
編だ。
対米従属の日米安保のままでいいにか、これこそが、本物の政局に値
する平成時代の一大政治テーマなのだ。
いや、日本の戦後政治の一大テーマなのである(了)
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