2島返還に舵を切った今回の安倍首相の外交に関して、様々な識者の意見が新聞紙上をにぎわせている。
その中で、私がもっとも注目したのが、きょう11月16日の朝日新聞に掲載されていた竹内行夫元外務事務次官の要旨次の言葉だ。
「今回の合意は、日本の外交努力や成果を後戻りさせるものだ。日本政府は4島の帰属問題をロシアに認めるよう努力してきた。4島の名前を列記し、その帰属問題を解決して平和条約を締結するとした93年の東京宣言は無視された。ロシア側は、日本が4島返還をあきらめ、2島返還と平和条約締結で手を打とうとしていると受け止めるだろう。2島の引き渡しすら、ロシア側が応じるかは大いに疑問だ。ロシアが返還条件に、北方領土の軍事利用や日米安全保障体制に注文をつける事があれば言語道断だ」
これこそが、これまでの外務省の伝統的な立場だ。
外務事務次官を務めていた谷内正太郎国家安全保障局長が、それを知らないはずがない。
知っていながら安倍首相に外務省を売り渡したのだ。
歴代事務次官が踏襲して来た外務省の方針を、一人の外務事務次官経験者が変えてしまったのだ。
それが正しいのならいいだろう。
しかし、安倍首相一人のスタンドプレーに忖度しただけだ。
外務省もまた、安倍首相の手によって組織崩壊させられたということだ。
それに手を貸したのが谷内正太郎元外務事務次官である(了)
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