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安倍首相の軽口発言が招いたプーチン大統領の「クセ球」発言

 ウラジオストックで開かれた東方経済フォーラムで、突然プーチン大統領が日ロ平和条約を前提条件なしで年内にも締結しようという発言をした。

 これは、北方領土返還を返さないまま平和条約締結を結ぶというとんでもない「クセ球」発言だと、自民党も野党もメディアも識者も一斉に報じた。

 そして、それに対して何も言い返せなかった安倍首相に批判が集中した。

 ところが、その批判はお門違いだ。

 あのプーチン発言を招いたのは、その直前に発せられた安倍首相の失言ともいうべき軽口発言だった。

 それに怒ったプーチン大統領の絶妙な切り返しだった。

 そう教えてくれる絶妙な解説記事を見つけた。

 きょう10月5日の朝日新聞「社説余滴」で駒木明義モスクワ支局長(国際社説担当)が書いている。

 プーチン氏の突然の提案の引き金を引いたのは、その直前に行った安倍首相のスピーチだったと。

 すなわち安倍首相は平和条約について、「今やらないで、いつやるのか」とプーチン氏に迫り、さらにたたみかけるように、外国の代表団が大勢いる満場の聴衆に拍手を促した。

 これがプーチン氏に挑発的だと受け止められたのだ。

 安倍氏の発言を逆手にとって、「それほど急ぐのなら、年内にやろう、ただし、領土問題は後回しで」と逆襲したのだ。

 その証拠に、この提案に会場から拍手が湧くと、プーチン氏は、「私はお願いせずとも、聴衆から拍手をいただいた」と、安倍首相の振る舞いを皮肉ったと。

 そして駒木氏はつぎのように解説を続ける。

 そもそもロシアは、平和条約交渉に日本が第三者を巻き込むことを嫌うと。

 ソ連崩壊直後に日本が強引にG7サミットの政治宣言に北方領土問題を盛り込んだことにロシアが強く反発し、態度を硬化させたことを思い出せと。

 もし、安倍首相が自民党総裁選を意識して、(外交の安倍よろしく)プーチン氏に向けたというよりも、テレビ越しの日本向けに芝居がかったパフォーマンを見せようとしたなら、裏目に出たのではないか、そんな顛末だったと私には見えたと。

 見事な解説だ。

 そうでないなら安倍首相は反論すべきだ。

 こういう解説を安倍批判の朝日新聞の記者ではなく、読売や産経の記者が書かなくてはいけないのであるが、そういう優秀な記者は読売や産経にはいないのだろう(了)

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