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日本はいまこそ米中対立の回避に動く時だ

 ない物ねだりを言っても仕方がないと思うが、今こそ安倍首相はトランプ大統領に対し、米中対立に突き進むのではなく、その回避に努めるよう働きかけるべきだ。

 しかし、安倍首相では無理だろう。

 それでも安倍首相は米中対立の回避に動くべきだ。

 それほど米中関係は危険な方向に向かっている。

 きょう10月2日の日経新聞が、9月26日に行われた安倍・トランプ会談に関する貴重な情報を提供してくれた。

 すなわちトランプ大統領は安倍首相にこう言ったという。

 「中国と対決してもこちらが勝つ。雇用も景気もいいからだ。中国とは徹底的にやる」と。

 トランプ大統領は安倍首相に物凄い本音を漏らしていたのだ。

 こんな重要な発言を安倍首相はトランプ大統領から聞いていたのだ。

 このトランプ大統領の発言を、安倍首相はすかさず習近平主席に伝え、習近平主席に対しても米国との対決を避けるよう働きかけるべきだ。

 ついに貿易戦争にとどまらず外交・安保政策にまで及びつつある。

 トランプ大統領は、台湾への支持や、南シナ海の中国覇阻止、さらには宇宙戦争まで公言するようになった。

 安倍首相との会談後の記者会見では、習近平主席とは「もう友達でないかもしれない」とまで言った。

 これに対し、中国は一歩も引かない構えだ。

 貿易戦争については、売られた喧嘩は買うといい、制裁をという武器を突きつけられてどうして話し合いができようかと、経済協議を拒否した。

 そしてついに、予定されていたマティス国防長官の訪中をキャンセルして米中安保対話まで中止した。

 ワシントンで9月下旬に開かれた国慶節を祝う中国大使館のレセプションへの米側出席者は、800人から600人と、昨年より200人も減り、トランプ大統領に近い人物の姿は皆無だったという(10月2日日経)

 これは、外交官としての経験から言えば、とんでもない米中関係の悪化を象徴する出来事だ。

 問題はこのようなトランプ大統領の対中強硬姿勢が、党派を超えて支持され、米国民の世論もまた、対中感情が悪化しているということだ。

 トランプ大統領の対中強硬姿勢はトランプ大統領の支持率回復策でもあるのだ。

 もはや米中対立の長期化は避けられない。

 しかし、米中関係の悪化で一番困るのは安倍首相のはずだ。

 10月末には訪中し、日中関係の改善の舵を切った。

 安倍首相がトランプとの関係を重視して米中対立に加担するようだと、中国は安倍訪中を直前になってキャンセルしてくるかもしれない。

 その一方で安倍首相は中国元と日本円のスワップ協定に合意している。

 これはドル基軸通貨への挑戦にもなりかねない日中金融協力だ。

 下手をすればトランプ大統領の尾を踏みかねない。

 米中対立の長期化は、米国を取るか中国を取るかの究極の選択を安倍首相に迫る事にになりかねない。

 安倍首相はトランプ大統領と習近平主席の双方に働きかけ、米中対立回避の首脳外交を行うべきだ。

 米中対立の回避は、日本経済にとっても、安倍首相にとっても、好ましい。

 そして安倍首相は、その気になればそれが出来る絶好の立場に立っている。

 しかし、安倍首相には無理だろう。

 なにしろトランプ大統領に100%ついて、中国との対決に加担してるからである。

 それでいて日中関係の改善を図るという。

 支離滅裂だ。

 そんな安倍首相に無理を承知で助言したい。

 いまこそ日本の自主、自立した外交の腕の見せ所であるからだ。

 安倍首相は恵まれた1強を正しく使えないままだ。

 なんとも愚かでもったいない事である。

 谷内正太郎は何をボヤボヤしているのだろう(了)
 

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