だから東方経済フォーラムなんかに出席することなく、日ロ首脳会談を終えたらさっさと帰国して石破氏との一騎打ちに専念すべきだった。
これまでの私だったらそう安倍批判をするところだ。
しかし、プーチン大統領が前提条件なしで平和条約締結を提案した事を見て、これは瓢箪から出た駒だ、千載一遇のチャンスだと思った。
もちろん、これはプーチン大統領の「くせ球」である。
しかし、この「くせ球」を見事に打ち返してこそ安倍首相は、どの首相も出来なかった歴史的偉業を達成できるのだ。
このままではそのチャンスを逸するだろう。
この突然の提案に安倍首相は沈黙するしかなかった。
それは仕方がなかった面もある。
そこで何か言えばどう転ぶかわからないからだ。
しかし、少なくとも安倍首相は当意即妙に一言いうべきだった。
ウラジミール、その提案は本気か。
本気なんだな、本気で二人で歴史をつくる覚悟なんだな、と脅すべきだったのだ。
あたかも解散を口走った野田民主党首相を追い込んだ時のように。
そう迫れば、プーチン大統領は逃げられない。
前提条件なしで日ロ平和条約が年内に締結される事になる。
こんなことは誰もが考えた事のなかった歴史的偉業だ。
私が驚いたのは、菅官房長官が記者会見で、日本政府の立場は「4島の帰属問題を解決したうえで平和条約を結ぶというものだ」とこのプーチン提案を一蹴したことだ。
もちろん、これは外交というものを何も知らない菅官房長官が、外務官僚の進言をそのまま繰り返したのだ。
安倍首相とは電話した上での発言だろう(もし電話していなかったらとんでもない越権になる)。
そして、安倍首相もどう判断していいかわからなかったから了承したに違いない。
とりあえずこれまでの方針を踏襲しようと話し合ったのだ。
4島の全面返還と同じように、外務省は従来の方針を変えようとしない。
それに同調する保守的な有識者も多い。
北方4島の帰属問題が未解決のまま平和条約を締結すれば領土問題が置き去りにされるおそれが強いからだ。
批判をおそれて下手な事は出来ない。
だからきょう9月13日の読売新聞はこう書いている。
「外交ルートを通じて発言の真意を確認する構えだ」と。
そんな馬鹿な事を考えているからダメなのだ。
プーチン大統領が言い出した提案を、どうして官僚たちが外交ルートで確認できるというのか。
安倍首相がウラジオストックに滞在中に、もう一度プーチン大統領と話し合って確認するしかなかったではないか。
そこで平和条約締結に合意すればそれで決まりだったのだ。
いくらリスクが高いからと言っても、このままでは北方領土はロシア領になって終わってしまう。
少なくとも領土問題を棚上げして平和条約締結を結べば、それを阻止できる。
平和条約を締結した後にいくらでも交渉はできる。
そのうちに日ロをとりまく国際環境も変わる。
なぜ、それがわからないのか。
谷内正太郎NSC局長が同行していたはずだ。
なぜ谷内正太郎は安倍首相にそう進言しなかったのか。
なぜ安倍首相は谷内正太郎に外務省を説得しろと命じなかったのか。
いまからでも遅くない。
安倍首相が帰国後に真っ先に行う事は、プーチン大統領に電話して、あの時の提案を受け入れたい。
9月20日の総裁選で勝利した後、直ちに訪ロして23回目の首脳会談を行いたい。
そう申し入れることだ。
それが出来ないようでは、今度こそ安倍外交は何一つ成果がなく終わる事になる。
私は安倍首相は、この私の助言に従って必ず動き出すと思っている(了)
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