6日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが衝撃的なニュースを流した。
同紙のジェームス・フリーマンというコラムニストが電話取材した時に、日本に貿易赤字削減の要求を伝えれば、今の良好な日米関係は「すぐに終わる」と語ったというのだ。
その発言が報道されて二日ほどたったけれど、安倍政権はもとより、日本の識者も、メディアも、ことさらに平静を装っている。
しかし、これは物凄い発言なのだ。
極端に言えば黒船以来の衝撃的な事件なのだ。
いつもの私なら、「トランプ・安倍の蜜月がウソだった事がバレタ」と鬼の首を取ったように書くだろう。
実際のところ、安倍嫌いの日刊ゲンダイは、トランプが安倍にお前は首だと宣言した、と書いた(9月10日号)。
しかし、そんな次元の話ではない。
トランプは安倍首相との良好な関係を認めている。
その安倍首相を困らせる事を知りながら、それでも対日要求は譲らないといっているのだ。
つまり、安倍首相が日本の国益を第一に考えれば、自分の要求は飲めないだろう。しかし、米国第一の自分は要求を貫徹する。だから良好な安倍首相との関係すら、悪化せざるを得ない、こういっているのだ。
これは物凄い発言なのだ。
それほど対日要求は日本にとって理不尽だという事だ。
しかし米国第一のトランプにとっては当たり前の事なのだ。
おまけに中間選挙が絡む。
ただでさえ中間選挙の苦戦が報じられている。
内政においても四面楚歌だ。
オバマも参戦するようになった民主党との全面対決になりつつある。
ロシア疑惑も最終局面だ。
米朝合意も行き詰まり、なによりも中国との貿易戦争がうまくいきそうもない。
残るは対日経済要求の実現だけだ。
果たして安倍首相はどう対応するのか。
いくらごまかそうとしても、最後はトランプの要求を呑むしかない。
野党はそんな安倍首相を非難するだろう。
しかし、野党に安倍政権を批判する資格はない。
野党こそ対案はなく、正しい日米関係は築けないからだ。
そして国民の多くは、米国との関係を決定的に悪化させるわけにはいかないと考える。
これを要するに、あの黒船の来襲と同様に、最後は挙国一致して、世界最大、最強の、そして世界一無理難題を要求する米国に対し、どう対応するか、考えざるを得ない時がきたのだ。
トランプが米国の大統領になってくれたおかげで、これまで日本政府や国民が避けてきた正しい対日関係の構築が迫られる事になった。
すなわち、日米同盟関係を最優先し、あらゆる米国の無理難題の要求を呑むか、それとも、米国との関係は重視しても、飲めない無理難題は毅然としてはね返す、自主、自立した対米日本外交を取り戻すのか。
その選択がついに求められようとしているのだ。
この答えを出すのは、与党も野党もない。
挙国一致体制で対応するしかないのだ。
いよいよ、新党憲法9条の出番である(了)
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