いずれ書くだろうと期待していた。
そして、書かなければ批判しようと思っていた。
そうしたらついにきょう8月8日の東京新聞が、「こちら特報部」で書いた。
7月27日に札幌で開かれた全国知事会が全会一致で日米地位協定の抜本的改定を求める提言を採択したことを。
憲法9条を否定し、日米同盟を最優先する読売や産経などには到底マネの出来ない報道だ。
東京新聞と同じく憲法9条護憲を謳える朝日新聞でさえもマネが出来ない。
なぜなら、朝日もまたはは日米同盟を最優先するからだ。
安保が憲法9条と矛盾するものであることを知っていながら、護憲を装うだけたちが悪い。
その意味で、きょうの東京新聞の「こちら特報部」の特集記事は、歴史的で画期的な記事として高く評価したい。
その記事を読むと、今度の提言の採択に至った経緯がよくわかる。
いきなり採択されたわけではない。
2015年1月に翁長沖縄県知事が「日本の安全保障は全国的な課題で、国民全体で考えて行く必要がある」と発言したことがきっかけだった。
それに基づいて2016年7月に米軍基地のある地域を含む11都道府県の知事をメンバーにした「米軍基地負担に関する研究会(座長・上田埼玉県知事)が設置された。
また、それに先立つ2016年2月には、基地を抱える全15都道府県でつくる「渉外知事会」の会長である黒岩祐治神奈川県知事が、「(日米地位協定の)改定に向け独自の試案を提示する」と県議会で発言した。
おりから日米地位協定のありかたが問われる米軍がらみの事故が相次いだ。
それらが積み重なって今度の全国知事会の決定につながったのだ。
つまり、「本土の沖縄化」が進むに従って、本土の住民、つまり国民が、在日米軍の不合理に気づき、知事を突き上げ、知事が動かざるを得なかったのだ。
この背景を教えてくれた東京新聞「こちら特報部」の功績は大きい。
しかし、同時に「こちら特報部」は今度の決定の限界についても書いている。
米軍のトラブルや騒音に悩む「基地県」の中には温度差があると。
交付金という飴を使った国の影響力は揺るがないと。
私が残念に思ったのは、「こちら特報部」の記事からは、決して、何があっても日米地位協定の改定を実現しなければいけないという熱意、気迫が伝わってこない事だ。
あくまでも、「画期的な提言が実現した背景には、なにがあったか」という観点から書かれた調査報道なのである。
これでは日米地位協定改定に向けた国民的運動に発展していかない。
ここに、きょうの東京新聞の「こちら特報部」の限界を見る。
今度の全国知事会の、「日米地位協定の抜本的見直し」提言の全会一致採択は確かに画期的だ。
しかし、それがモメンタムを失うことなく実現に向けた動きにつながらない限り、ガス抜きに終わる。
そして、大手メディアは、見事に今度の決定を無視した。
果たして東京新聞は日米地位協定の改定の先頭に立つ覚悟があるのだろうか。
それとも今度の「こちら特報部」の特集記事は、あくまでも「こちら特報部」どまりの調査報道に過ぎないものなのだろうか(了)
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