きょうの各紙が小さく報じた。
北方領土の元島民が7月22日から23日にかけて北方領土に墓参した際に、同行した日本政府関係者とメディアの携帯電話が没収されていたことが明らかになったと。
驚くべきニュースだ。
なぜ大騒ぎしないのだろうか。
北方領土墓参は、北方領土の主権を棚上げして合意された、さきの日露首脳会談の目玉のひとつだ。
その実施段階で日本の主権が無視されたということだ。
そして、きょうの朝のNHKが報じた。
ガルージン駐日大使は北方領土の共同開発はロシアの法律に従って企業間で進めればいいと述べたと。
これは北方領土の帰属権(主権)を棚投げして、とりあえず共同開発を進めるという、さきの首脳会談の合意に反した一方的なロシアの言い分だ。
別の報道によれば、ロシアは日本との相談なく、北朝鮮の企業に北方領土開発を認めるという。
問題は日本側の対応だ。
菅官房長官は政府として抗議したことを明らかにしたという。
これからも抗議していくという。
しかし、その抗議は在ロ大使館からロシア外務省に形式的に行うものだ。
本来ならば安倍首相がプーチン大統領に、国民の見ている前で、約束が違うではないか、と抗議すべきものだが、安倍首相にはその気は全く無い。
もちろん菅官房長官にもそれはない。
対米従属の日本が米国に主権を放棄したままであることは皆が知っている。
しかしロシアに対しても主権放棄をする日本など、これまで見たことがない。
ここまで日本のロシア外交は従属的になってしまったということだ。
しかも安倍首相はプーチン大統領に、日米同盟を止めれば北方領土返還を考えてもいいと、はっきり言われた。
つまり米国から主権を取り戻せば、ロシアも主権を返す用意があると言われたのだ。
それが本気か、駆け引きかわからない。
しかし、少なくとも安倍首相はボールを打ち返さなくてはいけない。
外交ゲームをしなくてはいけない。
ところが安倍首相は沈黙したままだ。
米国から主権を取り戻して米国との関係を悪化するくらいなら、ロシアに対しても主権を放棄して波風を立てたくない、と言っているようなものだ。
これが安倍外交の実態である。
これほど、日本と日本国民の主権をないがしろにした首相を私は見た事がない。
日本国民は、特に愛国・保守の国民は、それでいいのか、という事である(了)
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