きょう7月24日の産経新聞の記事を読んで、私は絶望的な気分になった。
私が危惧して来た事がそのまま書かれているからだ。
それが正しいからこそ、ますます絶望的になったのだ。
三井美奈パリ支局長が「緯度 経度」というコラムで書いた「露に急接近 イスラエルしたたか」という記事がそれだ。
その要旨はこうだ。
何の成果もなかった支離滅裂のヘルシンキにおける米露首脳会談であったが、唯一得をした国があった。それはイスラエルだと。
なぜなら、プーチン大統領は首脳会談後の記者会見で、ゴラン高原について、1974年のイスラエルとシリアの兵力引き離し協定(停戦協定)は完全に順守すべきだと公約したからだと。
これはイスラエルのゴラン高原占領を認めた事を意味し、シリア軍を支援するイランをけん制するものであるからだと。
米露首脳会談後の記者会見では確かにトランプ大統領もイスラエル支援を約束した。しかしトランプ大統領のイスラエル支援はあたりまえであり、しかもトランプ大統領はハチャメチャな大統領だ。それに比べプーチン大統領の支援はイスラエルにとって心強いと。
そして三井美奈記者はこう続ける。
ロシアはシリアのアサド政権にテコ入れし、イランと共同歩調をとる。だが、イスラエルが絡むと、途端にイランけん制に回ると。
米国と敵対するにもかかわらず、ロシアは米国の最大の同盟国であるイスラエルに対してつねに配慮すると。
そのカギは、イスラエル在住のロシア系ユダヤ人は約150万人、すなわち全人口のおよそ5分の一を占めるからだと。
しかも、見逃せないのは、そのユダヤ系ロシア人に新興財閥(オリガルヒ)が多い事だと。つまり財力にまかせてプーチン大統領に影響力を及ぼす存在だというわけだ。
そして三井美奈記者はこう締めくくっている。
日本や欧州がトランプのおかげで同盟関係が揺らいでいると大騒ぎしている中で、イスラエルだけが、ちゃっかり米露双方を後見役にしたのだ。イスラエルはやはりしたたかで強いと。
以上が三井美奈記者の記事の要旨だ。
そこにはパレスチナへの言及はない。
唯一言及したのが、「イスラエルはパレスチナを武力で抑え込んでおり和平を急ぐ理由はどこにもない」という言葉だ。
言わんとするところは、米ロ両国を後見役にしたイスラエルは、いまやパレスチナ占領をやり放題できるということである。
これ以上ない国際政治の不条理、不道徳である。
絶望的な記事である。
せめて習近平の中国だけはこの中に加わらないでほしいと願うばかりだ(了)
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