6月12日のシンガポールでの米朝合意からわずか1カ月。
あの時の大騒ぎがまるで嘘のようだ。
その最大の理由は、7月6、7日に行われたポンぺオ米国務長官と金英哲北朝鮮労働党副委員長との会談が不調に終わったからだ。
そしてこの不調に対して、日本のメディアは北朝鮮の対応に疑義を呈するものばかりだ。
それ見た事か、やはり北朝鮮は油断できない国だ。
トランプ大統領のトップダウンによる外交は、やはり危うい。
日本は北朝鮮が完全非核化するまで制裁を緩めてはいけない。
などといった、米朝合意に水をかけるようなものばかりだ。
一億総安倍首相化である。
そんな中で、きょう7月17日の共同通信がまともな論説を書いた。
すなわち、軍事的な後戻りだけは何としても避けたいとした上で、「非核化」の見返りに「安全の保証」と経済援助を供与する方式は核兵器放棄の王道であると書いた。
そして、「日本は米朝両国が動きを活発化するようもっと後押しすべきだ」と書いたのだ。
私がはじめて目にする正論だ。
建設的な論説である。
そして、その進言は、まさしく安倍首相の為でもあるのだ。
米朝合意の成功を一番望んでいるのはトランプ大統領だ。
国内の弱腰批判をはねつけ、中間選挙に勝てる。
ノーベル平和賞を手にすることができる。
もし安倍首相が北朝鮮に対する圧力一辺倒の政策をあらため、米朝合意に向けてトランプ大統領の努力を後押しするような政策を取れば、トランプ大統領は涙を流して感激するだろう。
ドナルド・シンゾーの強固な仲が文字通り世界一になる。
それこそが、安倍首相がもっとも望んでいる事ではないのか。
それに、安倍首相が欲している年内の韓国、中国との関係改善にも役立つ。
なによりも、安倍首相の悲願である拉致問題の解決のために、何としても米朝合意は成功させなくてはいけないのだ。
それでは、安倍首相は米朝合意の成功のためにどうすればいいのか。
共同通信の論説は、具体的な事は何も書いていない。
「ともすれば陥りがちな冷戦型の思考から脱皮し、北朝鮮の核問題の解決を実現し、不安定な北東アジアの安全保障環境を抜本的に転換させる、そんな構想を持って臨みたい」としか書いていない。
そんな訳の分からない事を書いている様では共同通信も駄目だ。
ズバリ、安倍首相は一日も早く訪朝して金正恩委員長と首脳会談を行い、日朝国交正常化と拉致問題を一気に解決する。
これしかない。
手ぶらで帰るような首脳会談では政治責任を取らされる、などという事を言っているからダメなのだ。
トランプ大統領がやったようにトップダウンで決めて来るのだ。
そのためには、「拉致被害者全員を生きて帰国させる」というこれまでの言葉を撤回することだ。
日本会議に向けたパフォーマンスではなく、正し歴史認識を持って外交の「王道」を行く勇気を持つことだ。
もしそんな対北朝鮮外交が安倍首相に出来るなら、安倍首相もたいしたものだ。
小泉・田中のいかさま訪朝をはるかにしのぐ本物の訪朝になる。
支持率回復間違いない。
なぜ誰もその事を安倍首相に進言するものが側近の中から出て来ないのか。
安倍忖度政治の限界である(了)
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