共同通信が拉致問題に関する一大スクープを配信した。
すなわち、拉致問題について金正恩委員長が拉致被害に関する調査結果を日本側に「再説明」するよう指示していたというのだ。
韓国の被害者家族でつくる拉北者家族会の崔成龍代表が7月12日に明らかにしたと言う。
崔代表は北朝鮮内に独自の情報源を持ち、この情報を入手したという。
このスクープ記事の核心は、「再説明」であって、「再調査」ではないといううところだ。
北朝鮮当局は、2014年のストックホルム合意の際、調査結果をすでに日本に伝達したという立場を繰り返している。
ところが日本側は、調査結果を受け取っていないと繰り返している。
この日本側の対応を知った金正恩委員長が、それなら、もう一度日本側に説明しろと指示を出したというのだ。
この共同通信のスクープ記事の重要なところは、金正恩委員長は米国と韓国の働きかけに応じて、「再説明」を指示したというところだ。
つまり、これが安倍首相が米国や韓国に頼み込んだ拉致問題重視の結果なのだ。
しかし、これはストックホルム合意の時に北朝鮮が日本側に伝えた調査結果をあらためて説明する事であって、決して「再調査」の結果を伝えるのではない。
そして、あの時の北朝鮮の説明は、「8人死亡、4人未入国」であって、日本側が、決して認められないとして受け取りを拒否したものだ。
もはや安倍首相が米国や韓国にいくら頼んでも、これ以上の物は北朝鮮からは出て来ない。
米国も韓国も、さすがに北朝鮮に対して、再説明ではなく再調査せよとまでは言えないし、言うはずがない。
金正恩にボールを投げ込まれた以上、今度は安倍首相がそれをどう打ち返すかだ。
再説明を受け取らないなら、少なくとも拉致問題に関しては、日朝首脳会談を開いても無駄になる。
だからといって、拉致被害者が全員生きていることが判明するまで再調査を求め続けるなら、日朝首脳会談はいつまでたっても開けない。
いよいよ安倍首相が決断を迫られる時が来たということだ。
これまでの方針を変えて、北朝鮮の再説明を受け入れるか、それとも拉致問題を永久に未解決のまま放置するか、どちらかである。
どちらを選択するにしても、安倍首相は窮地に立たされることになる(了)
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