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「政権は国そのものではない」という海部宣男名誉教授の至言

 天文学者で、理学博士で、国立天文台名誉教授という海部宣男(かいふのりお)という立派な肩書の人物を7月4日の共同通信の「論考」で知った。

 その「言論」は7月4日の地方紙(下野新聞)に掲載され、大手新聞では翌日の東京新聞だけが転載した。

 立派なのは肩書だけではない。

 言っていることがまた実に立派なのだ。

 すなわち海部宣男名誉教授は、この国の分断が科学研究費補助金問題にまで及んでいる事を、「この国ではネット上で『反日』だの、『ネトウヨ』だのと罵り合う騒ぎになっているが、ついにその分断は科学研究にまで及んでいるのか。と次のように憂いている。

 きっかけは今年2月、自民党の杉田水脈(すぎたみお)議員の、「講演や論文で反日的主張や研究成果を世界に向けて発表するような研究者に多額の研究費が出ているのは由々しい問題だ」という国会質問だったと。

 もちろん、これは事実誤認の質問であり、林芳正文科大臣の「研究課題の採択自体は公正に行われている」、「評価能力を十分に持っている研究者によって構成される審査組織が、個々の研究の学術的価値を厳正に評価して採択課題を選定する」という答弁が正しと。

 田中優子法政大学学長名の反論声明が出されたことを評価すると。

 それでも、この問題がネットはもとよりテレビや新聞でも賛否両論が続いていることは残念なことだと。

 こう論じた上で、海部名誉教授は次のように断じている。

 「私がこの問題を取り上げたのは、『反日研究者に税金を使うな』という主張には、見過ごせない本質的問題があるからである。学問の自由が大事なのはもちろんだし、多くの誤解もあるが、今はそれには触れない。ここで言いたいのは、『政権は国そのものではない』ということだ。『国』は、『国民全体』のもの、民意で運営していくものである。時々の『政権』は、一時のものにすぎない。だから、政権が進める政策を非難するのは『反日』ではない。もしそうなら、野党やそれを支持する国民はすべて『反日』になる。政権を批判する『反日』研究者に研究費を出すなという人々は、もし政権が野党に回ったら、同じ事を言うのだろうか。それを言わずに政権批判に回るなら、自分たちが『反日』になるではないか」

 その通りだ。

 「政権は国そのものではない」

 蓋し至言だ。

 そしての言葉は、そっくりそのまま安倍首相に教えなければいけない言葉だ。

 ちなみに、私はまったくその存在を知らなかったのだが、この杉田水脈という聞きなれない人物こそ、現職の国会議員でありながら、あの山口某準強姦疑惑について、伊藤詩織さんに非があったと言いふらしている人物だ。

 調べてみると、間違った歴史認識を振りかざし、教科書問題や慰安婦問題などで右翼的な事ばかり騒ぎ立てている人物であることが分かった。

 日本の恥を世界にさらしている人物だ。

 日本の名誉のために、即刻国会議員を弾劾されるべき人物である。

 10年以上にわたって毎日書き続けてきたが、これほど腹立たしい思いで書いた事はない(了)

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