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PAC3撤収の可能性を示唆した河野統幕長の大いなる矛盾

 米朝首脳会談によって北朝鮮の危機がとりあえず遠のいたのだから、日本政府が北朝鮮から飛んでくるミサイルに備えた訓練を中止したのは当然だ。

 ところが政府は新型迎撃ミサイルシステムの購入を見直そうとはしない。

 「イージスアショア」と呼ばれる陸上配備型迎撃ミサイルシステムがそれだ。

 購入を見直そうとしないばかりか、小野寺防衛大臣は、「北朝鮮の脅威は何も変わっていない」と言って、イージスアショアの配備を進めようとしている。

 受け入れ先の秋田と山口に受け入れを迫っている。

 これは矛盾しているのではないか。

 政府関係者は矛盾していないとこう強弁するだろう。

 訓練と防衛装備は違うと。

 訓練はいつでも中止できるが、防衛装備は長期的な計画に基づくものだ。

 危機が一時的に遠のいたからといって、すぐに中止できるものではなく、また中止すべきではないと。

 ところが週刊現代(7月7日号)が「霞ヶ関24時」で書いた。

 米朝間の融和ムードの高まりで防衛省幹部が戸惑っていると。

 すなわち、総額1兆円を下らないイージスアショアは固定型のため北朝鮮にしか対処できない。だからその導入目標年である2023年に、朝鮮半島が平和的状況になっていたら、「なぜもっと他に予算をまわせなかったのか」という話しになりかねないと懸念しているというのだ。

 もっとも、この週刊現代の記事ですら、まだ反論は出来る。

 防衛省幹部と言ってもぞろぞろいる。

 政権中枢から外れた出来ぞこないの幹部が週刊誌相手に愚痴を言っているだけだろうと。

 ところが、きょう6月29日の産経新聞の記事を見て驚いた。

 河野統幕長がきのう6月28日の記者会見でPAC3の撤収の可能性を示唆したというのだ。

 PAC3の撤収は訓練の中止とはわけが違う。

 あらたに導入しようとしているイージスアショアと一体となった日本の撃ミサイルシステムそのものだ。

 それを撤収するというのだ。

 しかもその事を、わけのわからない幹部ではなく、河野克俊という自衛隊のトップが記者会見で口にしたのだ。

 そして歴代の統幕長の誰よりも、河野統幕長は安倍首相に直結している。

 その河野統幕議長が「米朝が非核化に向けて交渉しているので、それをひっくり返すようなミサイル発射は考えにくい」といって、PAC3を撤収させる可能性を示唆したのだ。

 これは、北朝鮮の脅威は変わらないと言ってイージスアショアの配備を強行する小野寺防衛相の発言と、明らかに矛盾する。

 野党は、PAC3撤収の可能性を示唆した河野統幕長の記者会見を見逃してはいけない。

 小野寺防衛大臣のイージスアショア配備発言との矛盾を国会で徹底追及し、国民に教えなくてはいけない(了)

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