米国が、イラン原油の輸入禁止を日本に求めてきたことが判明して以来、日本政府もメディアも、ただうろたえるだけだ。
どうしたらその要求をかわすか、日本の事情を説明して、日本だけは「おめこぼし」してもらわなければいけない、といった事ばかりだ。
そうではない。
こんな一方な要求は毅然として拒否すべきなのだ。
毅然と拒否できるこれだけの理由がある。
そもそも、今度の米国の対イラン制裁強化は国際合意違反である。
米国を含めた欧米首脳国は、難交渉の末に2015年にイランと核合意した。
つまりイランの核開発の制限と引き換えにそれまでの制裁を解除をしたのだ。
イランはその合意を順守してきた。
そのことは核開発を監視するIAEAも認めている。
だからこそ、欧州はこぞって米国の一方的な合意破りに反対しているのだ。
これはオバマのやったことをすべて否定しようとするトランプの暴挙だ。
しかもトランプは、歴代の大統領すらためらった米大使館のエルサレム移転を強行したほどのあからさまなイスラエル寄り政策を取っている。
つまり、今度の米国の一方的なイラン合意からの離脱と対イラン制裁強化は、米国の横暴であり中東を不安定にする間違った政策なのだ。
それだけでも拒否すべき十分な理由がある。
その上に、原油価格の値上げにつながり国民生活を苦しめる。
しかも今度の米国の対イラン制裁強化は、日本政府に対してだけではなく、民間企業まで対象にしている。
つまり、イラン原油の取引がある金融機関を米国の市場から締め出そうとしている。
日本国民は怒らなければいけない。
そして、当然ながらイランは、日本国民以上に強く反発する。
そもそもイランが2015年の合意に応じたのは、経済制裁による困窮だった。
今度の制裁強化はイランを更なる経済困窮に追いやることになる。
合意を守っているのに、再び一方的に経済制裁を強化され,生活を苦しめられる。
イランの反米、反イスラエル感情は高まり、中東情勢に悪影響を及ぼすのは必至だ。
こう考えていくと、誰が見ても米国のイラン原油禁輸要求は不当であり、日本は毅然として拒否しなければいけないことがわかる。
実は、ここまで書いて来た事は、きょう6月29日の毎日新聞が、「米国のイラン原油禁輸要求 日本は毅然として拒否を」という見出しで掲げた社説の要旨である。
この毎日新聞の社説は正論であり、イラン原油禁酒要求が報じられて以降、はじめてメディアで目にした気骨ある主張である。
この正論がメディアで広がらなければいけない。
政治の中からもこのような正論が出て来なくてはいけないのである(了)
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