小野寺防衛大臣がきのう4月2日、不存在としてきた自衛隊イラク派遣の日報が見つかったと発表した。
このニュースをテレビで知った時、私は瞬間的に、小泉首相が犯したイラク戦争への自衛隊派遣という憲法9条違反が、今再びよみがえったと思った。
今度こそ、イラク戦争の再検証が求められると思った。
なにしろ、ウソにウソを重ねた小泉首相の国会答弁が、それから10年以上たって、歴史によって裁かれることになるからだ。
こ憲法9条違反の指揮を取ったヒゲの佐藤が国会議員になって日本の外交・安保政策を大きな顔をして語る、このいかさまぶりが明らかになるからだ。
この日報は、2015年に公表された、おためごかしの「イラク復興支援活動行動史」ではない。
当時の現場指揮官が「純然たる軍事作戦」と振り返るほど緊迫したものだという(4月3日共同通信)。
2004年から2006年もの長期わたる、1万4千頁という膨大かつ克明な記録であるという。
おそらくその中には、当時のサマワが決して安全ではなく、サマワの自衛隊が、復興支援どころか、戦闘の危機にさらされていた事が書かれているに違いない。
だからこそ「存在しない」と否定して来たのだ。
これは、いま流行りの、ずさんな文書管理でも、文書改ざんでもない。
れっきとした隠ぺいだ。
そして、これは朝日のスクープではない。
野党議員(おそらく共産党議員)に対して行われた自衛隊員による内部告発に違いない。
内部告発に基づいた野党議員の資料要求を拒否できず、追及されて大騒ぎになる前に先手を打って、その存在を小野寺大臣の方から記者に説明する必要があったのだ。
その事自体が、このイラク日報公表問題の深刻性を物語っている。
果たして野党はこの世紀の告発を活かせるのか。
イラク自衛隊派遣の日報問題を厳しく追及して安倍政権を追い込む事ができるのだろうか。
そしていまこそあのイラク戦争の再検証が必要だとして、安倍政権に小泉政権の憲法9条違反の失政を明らかにするよう要求するだろうか。
結論から言えばそうならない。
今の野党はあまりにも非力だ。
今の野党は森友文書改ざん追及で手一杯だ。
今の野党にはいまさらイラク戦争を検証しようと考える政治家はいないからだ。
今の野党には日米同盟に反対して政府を追いつめる政治家はいないからだ。
なにしろ今の野党は小泉首相と原発反対で共闘し、野党第一党の国対委員長が小泉首相にすり寄る体たらくであるからだ。
かくして、この陸自イラク日報問題は、本来ならば自民党政権がいくつ倒れてもおかしくないほどの重大問題であるにもかかわらず、政局には何の影響もなく、防衛省の謝罪一つでごまかされて終わるだろう。
もはや何が起きても安倍政権は続くということだ。
絶望的な政治状況である(了)
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