森友文書の書き換えが、「あってはならないことだ」、「民主主義の危機だ」と、与党も野党もすべての識者も、そしてすべてのメディアも、口をそろえて大騒ぎしていた時、私は他省庁の文書に書き換えが見つかったらどうなるのだろうと思って見ていた。
そうしたら、やはりというか、当然というか、他の省庁でも文書書き換えが見つかったらしい。
今日の各紙が小さく報じている。
政府は30日の閣議で、厚労省で2007年と2014年に決裁文書の書き換えがあったとする答弁書を決定したという。
希望の党の小宮山泰子議員の質問主意書に回答するためらしい。
ところが驚いたことに、どこがどう書き換えられたかには触れてない。
しかも、「現時点で把握している限り」であり、「他にこうした例があるか調査中だ」としている。
ということは他にもいくらでもあるということだ。
しかし、それ以上小宮山議員が追及する気配はない。
聞きっぱなしだ終わるだろう。
私がもっと驚いたのは、共産党の穀田恵二議員が30日の衆院外務委員会で追及した防衛省の文書書き換え疑惑だ。
すなわち防衛省統合幕僚監部が2012年に作成した文書が、2015年に共産党が入手した同じ文書と比べ、削除された部分があり、これは改ざんの疑いがあると追及したらしい。
これに対し山本朋広防衛副大臣は、共産党がどういう経路でその文書を入手したのか明らかでないので真贋について答えるのは困難だと逃げた。
しかし、この改ざん疑惑は、決して逃がしてはならないほど深刻な書き換えである。
なぜなら、その文書は民主党政権下であった2012年7月に統幕防衛計画部が作成した日米防衛協力に関する文書であるからだ。
政権が変わって書き換えられたなら、防衛政策の変更だ。
その変更は国会で堂々と議論した上で政策の変更として国民の前に明らかにされなければいけない。
もし民主党政権がその文書に書かれている内容を決済しているのであれば、当時の民主党の主要議員は、自民党政権にその変更の理由を国会で問いただすべきだ。
もし民主党政権がその文書に関与していなければ、自衛隊幹部の文民統制違反である。
政権が再び自民党に戻ったから、都合の悪いところを改ざんした疑いがある。
この防衛省文書の書き換え疑惑は、国家の防衛政策に関わることだから森友文書改ざんよりはるかに深刻だ。
森友文書改ざんより大騒ぎしなければいけない問題だ。
しかし、誰もこれ以上追及しないだろう。
森友文書改ざんで手一杯であるからだ。
防衛政策は誰も関心がなく、追及し甲斐がないから、メディアも騒がないからだ。
もしこのまま防衛省の文書書き換え疑惑が忘れ去る事になれば、もはやため息が出る現実と言う事になる。
これでもし森友疑惑すら解明されずに終わるなら、政治はいかさまだという事である(了)
Comment On Facebook