きょう1月30日の、朝日新聞の「波聞風問」というコラムで、原真人編集委員が、なぜ日銀の黒田総裁はいつまでたっても脱デフレ宣言が出来ないのか、その本当の理由を次のように見事に喝破した。
「政府・日銀が掲げる2%インフレ目標が未達成だから、というのが政府・日銀の公式見解だ」と。
「ただ、その理屈は苦しい。なにしろ政府も日銀も『景気は拡大中』と言っている」からだと。
そう書いた上で、次のように解説して見せてくれている。
「宣言できない本当の理由は異次元緩和を終わらせられないからだ」と。
「日銀は異次元緩和の一環で国債と株式ファンドを大量に買い続けている。いまや苦しい政府の借金財政を支えるのも、株価の高騰を下支えしているのも日銀だ。日銀がこれらの政策をやめたら、あるいは購入量を減らしただけでも、間違いなく国債価格と株価は急落する。(それを)避けるには政策継続しかない」のだと。
「ただ、国債や株を永遠に買い支え続けることはできない。『正常化』を先送りすればするほど反動は大きくなる。だが高株価とゼロ金利の微温景気にどっぷりつかった安倍政権にその気はなさそうだ。日銀自身もいまや引くに引けなくなった。みずから引いてショックを起こせば戦犯と見なされる。ならば動かぬが得、と決め込んでいる」のだと。
まことに深刻な状況なのだ。
しかし、実はこのような指摘は、いまやアベノミクスに批判的な者たちが至るところで指摘していることだ。
そして、その反論もまたなされている。
そして、そのような経済専門家の議論は、一般国民を置いてけぼりにしたまま、いつまでたっても平行線のまま深まらない。
国民はどちらが正しいのかわからず、判断ができないまま、安倍政権は続き、黒田総裁は日銀総裁を続ける。
それはあたかも安保政策論争や憲法9条改憲論争と同じだ。
誰かがその悪循環を断ち切らなければいけない。
本来は、それこそが、与野党の政治家の最大の課題であるにもかかわらず、批判や追及はしても、責任を持って安倍政権と反対の政策を掲げて政権を取ろうとする野党は存在しない。
そして、そのような野党を信じて政権を任せようとする国民は決して多数にならない。
そんな政治状況の中で、我が国の安全も経済も、どんどん深刻になっていく。
国民にとっては、どの政党が政権をとっても、誰が首相になってもいいから、何とかしてくれ、という思いに違いない。
いまや政治家たちは政局などに明け暮れる余裕はなく、国民の為の緊急避難的な大勢翼賛体制になるしかないと私が唱えるゆえんである。
と、ここまで書いて来て、私はいま売り出し中の、もはや日本は格差社会を通り越して階級社会になりつつある、という本の事を思い出した。
ここまで国民が二極化しているのである。
政治が機能しない最大の理由がここにあるのかもしれない(了)
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