きのう8月30日の夜おそく、日刊ゲンダイから電話取材を受けた。
麻生副総理財務大臣のヒトラー発言についてどう思うかと。
29日に横浜市で開かれたみずから率いる麻生派研修会で、「(政治家に)動機は問わない。結果が大事だ。いくら動機が正しくても、何百万人殺しちゃったヒトラーは駄目だ」などと語ったあの発言の事である。
今日発売の日刊ゲンダイは、その一部しか書かないだろうから、メルマガの読者には私が電話口で語った事をそのままお伝えしたい。
この発言は最悪のタイミングで発せられた最悪の発言である。
最悪とはいうまでもない。虐殺の動機が正しかったとも受け止められかねないような発言はどんなに弁解しても弁解しようがない暴言だからだ。
最悪のタイミングとは、麻生氏がペンス副大統領との会談のために9月上旬に訪米を控えている直前だったからだ。
おりから米国ではトランプ大統領の人種差別擁護発言が大問題になっている時だ。
この発言が米国で騒がれたら麻生副総理はもとより安倍政権に致命的になる。
そんな麻生氏を厚遇すれば非難はトランプ政権にも及びかねない。
注目すべきは、世界のユダヤ人の人権を守る運動を行う組織であるサイモン・ウィーゼンタール・センターがこの麻生発言にどう反応するかだ。
従来ならばこれほどの失言には即座に反応を示すのに、今度ばかりはやけに静かだ。
おそらく、いまは安倍政権を利用すべきだと考えるトランプ政権が、騒ぎを抑えているかもしれない。
麻生氏は直ちに撤回、謝罪したが、その裏には、ペンス副大統領の忠告が届けらてたのかもしれない。
このままいけば米国内で批判が高まり、麻生氏の訪米は危うくなる。
そうすれば麻生氏の政治生命も危うくなる。
そうならないよう抑えてやるから、そのためにも一刻も早く撤回・謝意せよと。
(因みに日刊現ゲンダイによれば財務省は英文で撤回・謝罪したらしいが、これは異例であり、ますますペンス副大統領筋から、そうしろという要求があった可能性が高い)
もしそうなら麻生氏はペンス氏に大きな借りを負うことになった。
これから始まる経済交渉で麻生氏はペンス氏に逆らえず譲歩を重ねることになる。
日本の国益を大きく損ねる発言になる。
それだけではない。
麻生氏個人にとっても最悪のタイミングで発せられた発言だ。
おりから内閣改造でポスト安倍をめぐる菅官房長官と麻生副総裁の対立が決定的となり、安倍首相は菅官房長官を優遇した。
一敗地にまみれた麻生氏が巻き返しを図ろうとする矢先に、この発言だ。
たとえその場は凌げても、これで麻生氏の政治的影響力は急速にしぼんでいく。
いくらオウンゴールにしても、あまりにも痛い麻生氏の発言である(了)
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