日報疑惑に関する特別監察報告書があす28日に公表されるのを前にして、きょう7月27日の朝日新聞が、その最新刷りで、大スクープを報じた。
すなわち岡部陸自幕僚長が引責辞任するというのだ。
やはり、あの日報疑惑は、陸自ひとりが責任を取らされる事に対する陸自の謀反だったのだ。
その監督責任から逃れられないことを知った岡部陸自幕僚長が、更迭を潔しとせず、みずから辞任する腹を固めたのだ。
この背景にある防衛省内部の混乱を見事に教えてくれているのが、夕刊フジに連日のように書いている桜林美佐という防衛問題研究家である。
間違いなく彼女は現役自衛官からの内部情報を得て書いている。
それもどちらかといえば陸自からの情報だ。
彼女に言わせればこうだ。
現地に配置されている自衛官(陸自)にとってみれば、東京の政治的配慮など関係なく、軍人として現地で見てきた事をそのまま書くのが日報である。
現地では戦闘行為が行われていたのだ。
ところが、東京はそれをそのまま認めるわけにはいかない。
桜林氏ははっきりこう書いている。
「・・・日報には『戦闘』と記述されていたことで野党の攻撃を受けたため、河野克俊統幕議長が『戦闘』という表現を使う場合には注意するよう、現地部隊に指示するに至った。これは尋常ではない。現場の隊員たちが国会を『忖度』して文言を考える、またそのことで頭を悩ませるなど、あってはならないことだ・・・50度もあるという灼熱の地・南スーダンで汗を流す彼らにとってはバカバカしくてやってられないだろう・・・統幕そのものが『政治寄りだ』と見られてもおかしくない。そうなると陸海空自衛隊VS統幕などという構図になりかねない・・・目には見えないし、言葉に出さないまでも、統幕に不信感を持つ自衛官が増えているような事になれば・・・それが国のためになるのかどうかを私たちは考えなければいけない・・・」(7月27日夕刊フジ)
桜林氏は明らかに右翼的思想の持ち主であり、自衛官は武人だとまで書いている人物だ。
その事を割り引いても、もしここに書かれているような不満を持っている者がPKO派遣部隊の中はもとより東京の自衛官の中にいるとすれば、そして、彼らの中で内部告発として情報をメディアに流した者がいたとすれば、これは大げさに言えば陸自のクーデターだ。
河野克俊統幕議長と岡部陸幕長の間に対立があってもなくても(私はないと見ているが)、陸自の部下を監督できなかった岡部陸幕長の責任は免れない。
しかし、この混乱の原因は、岡部陸幕長の引責辞任では済まされない。
河野統幕議長も、黒江防衛事務次官も責任がある。
そして、そのような防衛省内の混乱を知ってか知らずか、防衛省の制服組と背広組の双方から相手にされなかった稲田防衛大臣の責任は重大だ。
そんな稲田大臣をかばい続けた安倍首相の責任は重大だ。
内閣総辞職をして、自衛隊組織と政権の信頼関係を再構築しなければいけない。
それほどの大きな問題である。
関係を果たしてあす28日に公表される特別監察報告書は、その事を国民の前に明らかにしてくれるのだろうか(了)
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