日米首脳会談に関する報道を見るにつけて、今度の日米首脳会談ほど異常なものはないことがわかる。
なんといっても、米国側との事務レベルの準備がまったく進んでいないガチンコの首脳会談になりそうだということだ。
首脳会談ともなると、その議題の設定に始まって共同声明における合意に至るまで、外務省と国務省の官僚同士が周到に準備して進められ、その一部が、メディアへのサービスとして事前にリークされて、国民の知るところとなるのが常だ。
しかし、今度の日米首脳会談にはそれがまったくない。
無理もない。
なにしろトランプ大統領は自分の意見を側近に命じるだけで、いう事を聞かなければすぐに首を斬る。
おまけに国務省の500人にも上る官僚が抗議のボイコットを始めた。
とても準備できる状況にはないのだ。
異常なのは、それだけではない。
報じられる安倍首相の首脳会談での予定発言は異常すぎる。
トランプ大統領を喜ばせるために米国内の雇用創出を盛り込んだ成長戦略を提示するというのだ(2月1日読売)。
なんという異常さだ。
日本の雇用創出策もままならないのに、米国の雇用創出策を必死で取りまとめようとしている。
本末転倒、対米従属も甚だしい。
さらに、こういう滑稽な報道もある。
米軍駐留経費の増額を求められた時に備えて、日本は同盟国で断トツに負担している事を説明するという。
日本の負担率は74.5%で、これは韓国の40・0%。ドイツの32・6%に比べてはるかに大きいことを強調するという。
しかもこの74・5%という数字は米国防省の数字であって、日本側の統計では、これに思いやり予算を付け加えるのでさらに86・4%にも膨れ上がると説明するという。
いつもなら、このような恥ずべき数字は国民に隠すのに、米国を説得するためだと言ってメディアは大きく報道する。
これも異常だ。
そして、異常さの極めつけは、トランプ大統領への訪日招待を見送らざるを得なくなるという異常さだ。
いつもの日米首脳会談では、日米同盟の証として米国大統領を国賓として訪日招待するのが常だ。
安倍首相がワシントンを訪問したのだから、今度は安倍首相がトランプ大統領を日本に招待する番だ。
英国のメイ首相もそれをやった。
ところがその英国で猛反発が起こり、トランプ大統領が楽しみにしているエリザベス女王との晩さん会が危うくなりつつある。
これを見た安倍首相は、トランプ大統領を招待できないだろう。
招待すれば国賓待遇となり、天皇陛下の謁見と晩さん会を行う事になる。
そして、トランプ大統領はそれを喜んで受ける。
しかし、憲法9条とは正反対の塊のようなトランプ大統領を天皇陛下に会わせ、晩さん会までさせるということは、不敬の極みとなる。
ただでさえ不敬を重ねている安倍首相だ。
いくら何でもこれは出来ないだろう。
考えれば考えるほど、異常な2月10日の日米首脳会談だ。
こんな首脳会談ならやらない方が安倍首相のためだ。
安倍首相も、いまではそう思っているに違いない。
安倍首相がついていれば、ひょっとして反トランプの動きがさらに高まり、トランプ大統領の都合で首脳会談は直前で取りやめになるかもしれない(了)
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