毎日新聞の会川晴之という専門編集委員は、私が知る限りでは、日本の大手紙記者としては唯一人いと言っていいほど、ウクライナ戦争に関して米国を批判的に書き続けて来た記者だ。
その会川専門編集委員が、きょう7月21日のみずからのコラム(木語)で「米国の思わぬ弱さ」と題して次のように教えてくれた。
すなわち、先般のバイデン大統領のサウジアラビア訪問の際に交わされたバイデン大統領とムハンマド皇太子のやり取りについてこう書いている。
ムハンマド皇太子が事件に深くかかわったとされるカショギ殺害事件について、バイデン大統領は会談冒頭で次のように切り込んだ。
「明確な人権問題に沈黙を保つわけにはいかない」と。
これに対し、ムハンマド皇太子は次のように忠告した。
「米国の価値観を押しつけることは逆効果だ」と。
そして、ムハンマド皇太子は次のようにバイデン大統領にダメ出しをしたというのだ。
「米国の価値観を100%押しつけようとするなら、北大西洋条約機構(NATO)以外の国は米国と付き合おうとしないだろう」と。
こんな会話がバイデン大統領とムハンマド皇太子の間でやりとりされていたとは知らなかった。
バイデン大統領も舐められたものだ。
かつての米国なら考えられないような会話だ。
もし、この会話が事実なら、これこそが米国の一極支配の終わりを象徴する会話になる。
そして会川専門編集委員はそのコラムを次のように締めくくっている。
「ウクライナ侵攻開始から24日で5カ月。
日本など主要7カ国や欧州連合加盟国はロシアを非難、ロシア産原油の輸入禁止を決めるなど前例のない制裁を科し、侵攻終結を促す。
だが、制裁の輪は広がらない。
ロシアと親密な関係を築く中国、北朝鮮などのほか、格安のロシア産原油の調達を増やすインド・・・アフリカ、中東に制裁参加国はなく、中南米、アジアでもごく少数・・・NATO加盟国でもトルコは不参加だ・・・
ムハンマド皇太子の一言で、米国の思わぬ弱さが露呈した」
この会川記者のコラムは、同時にまた、対米従属に終始する日本のウクライナ戦争に関する外交への、痛烈な批判に違いない(了)
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