てっきり朝一番に安倍首相は黒川更迭を発表すると思っていた。
ところが第一声は、検察庁の判断を待って閣議決定する、というものだった。
これは、検察庁の判断を尊重してクビにすると言ったのだ。
それを聞いて私は安倍首相のしたたかさを見た。
同じクビにするのでも、検察庁の判断を待ってクビにするのは、安倍首相にとっては一石二鳥の最善策なのだ。
自分が直接介入することなく、つまり検察庁の自主的判断を尊重して、決める。
そして、検察庁は、黒川氏からの辞職願を受け取って辞めさせるしかない。
どうせ辞めざるを得ない黒川氏だが、クビにするか、辞めるかでは、大きな違いがある。
検察庁は自らのナンバー2をクビにさせて退職金を奪うわけにはいかない。
辞職願を受理するしかないのだ。
そして、それを安倍政権が、検察庁の判断を尊重して追認する。
そうすることによって、なぜクビにしないのか、退職金を受け取って辞めさせるなどという甘い処分は許されない、そういう、野党や世論の批判をかわす事が出来るのだ。
これは検察庁の判断だ、それを尊重したまでだと。
そして黒川氏がいなくなれば、もはや黒川問題はその瞬間に終わる。
おまけに後任人事のおつりまである。
つまり、黒川氏の同期の林氏が次期検事総長に内定したというニュースが、はやばやと流れた。
これこそが検察庁の予定人事だったのだ。
それを安倍首相が覆そうとして黒川氏をごり押しして問題になったのだ。
マージャン疑惑ですべてをリセット出来たのだ。
黒川氏は適任者と思っていたが、まさかマージャン賭博をやっていたとは思わなかった。
さすがに辞めてもらうしかない。
後任人事を含め、その判断は検察庁に任せる。
まさしく一石二鳥の幕引きだ。
自主性を尊重してもらった検察庁は、安倍政権に敵対する必要はなくなる。
もし敵対するなら、その時こそ、安倍政権は検察庁のスキャンダルを暴露し、検察庁潰しにでる。
世論は決して検察庁に味方しない。
かくして安倍政権と検察庁の取引が成立したというわけだ。
これで、河井逮捕もコロナ危機が一段落するまで動かないだろう。
そして、コロナ危機が一段落すれば、安倍首相はそれを花道に自発的に辞めるつもりだ。
8月を過ぎれば、叔父の佐藤栄作元首相の一内閣最長記録を超える事ができる。
花道であった東京五輪も出来るかどうかわからない。
トランプも負けそうだ。
コロナ危機後の問題はとてつもなく困難な問題ばかりだ。
いくら安倍首相でも、やる気はなくなる。
石もて追われるような辞め方だけはしたくない。
コロナ危機はすぐには終わらない。
コロナ危機の終息を花道に自発的に辞める。
安倍首相がそう考えても不思議はない。
ひょっとして、黒川マージャン賭博の発覚は、安倍首相のやらせだったのではないか。
週刊文春にリークしたのは安倍擁護の産経新聞の記者だ。
黒川問題で行き詰まった安倍首相を助けるための奇策だったのではないか。
まさかそんな事は無いだろうが、そう思いたくなるような安倍首相の黒川マージャン疑惑に対する落ち着き払った対応である。
はたしてメディアは舞台裏を教えてくれるだろうか(了)
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